問題解決提言チームのリーダーは現業から独立させてほしいが、経験的にはこうした人材は社内で引く手あまたで、重要な現業を担当しているケースが多い。 だからといって、社内の重要変革プロジェクトに閑職の社員をアサインしてはいけない。問題解決提言チームのリーダーの人選は、社内の経営問題の優先順位付けから考えるべきなのである。

加えて人材育成の観点からもこれは意義のあることである。問題解決提言チームのリーダーは、「経営課題の解決策を考える」「プロジェクトのためにチームを組織する」「上の人間に意思決定を迫る」といった修羅場経験を積むことになるため、当人の大きな成長を促すものとなる。

経営課題の解決を成功させる第2のポイントは、課題解決のためのプロセスにおいて、いかに幅広く社内の関係者を巻き込んでいくかにある。

解決の仕方がわかっているのに、解決の努力が続かないという例は珍しくない。これは社員が、経営上の課題を自分の課題と認識していないために起こる。人は、自分のオーナーシップの届く範囲内にないことだと感じると、頭では理解できていても行動を起こさなくなってしまうのである。

「問題なのはわかっていたけど、自分たち内部の人間の口からそこまではっきり言えなかった」とか、あるいは「問題があるのはわかっていたけれど、そこまで明確に理解していなかった」というのが典型的な反応である。

これを正すためには、問題解決プロジェクトメンバーが、経営陣および関係部署の担当者たちを交えて議論を繰り返すことが必要となる。とりわけ課題と関わりの深い人たちとはできるだけ頻繁に意味のあるミーティングを行うようにする。意味のあるミーティングとは、データ収集、根本原因の特定、解決策選択肢の特定、解決策の決定、解決策の試行、修正等、実際の問題解決ステップに沿った形で目的に応じてミーティングを行うということである。これによって、解決すべき課題についての理解を深めてもらうのと同時に、それがどういう根拠や対策で解決に向かってゆくのかというカラクリを関係当事者間で共有すれば、実行プロセスにおける推進力を高めることにつながるからである。

このように関係者を巻き込み議論を繰り返してゆくうえでのさらなるコツは、(1)推進してゆくステップ、当事者、それらの役割分担を事前に明確にしてそれらを公にすること、(2)推進ステップの具体的な活動を明確なアウトプット志向で行うこと、の2点である。