だったら、保温ご飯の温度を、炊きたてご飯ほどまで上げてやればいいのではないか? 電子レンジを使うのである。よく、冷やご飯を電子レンジを使って温めろ、というレシピはあるが、ここでは保温ご飯の温度をさらに上げるために電子レンジを使うわけだ。電子レンジにかければ、温度が上がるだけではない。水分もさらに飛ぶから、一石二鳥である。
チンした保温ご飯のあなどれない実力
さて、5時間保温したご飯230グラムを皿に広げ、600ワットの電子レンジにかけた。いろいろな時間で試したが、炊きたてのご飯と同じ100度近くまでもっていくには、1分40秒でいいとわかった。さらに長い時間をかけても、温度はそれ以上に上がらず、部分的に乾いて食感も悪くなるだけだった。
チンしたご飯の重さをはかると218グラム。水分が5%減った計算になる。この数字ならパラパラに貢献するに違いない。実際に炒めてみる。卵を入れ、ひと呼吸おいてご飯を投入しても、温度は180度までしか下がらない。炊きたてのご飯を入れたときと同じだ(まあ、電子レンジで同じ温度にしたのだから、当然だが)。
ただ、水分たっぷりの炊きたてご飯と違い、保温の過程で1%、チンする過程で5%の水分が飛んでいる。おかげで、これまでで一番パラリと仕上がった。
もちろん、180度という温度はまだパラパラのチャーハンをつくるには、まだ低い。とはいえ、電子レンジでご飯の温度をこれ以上は上げられないのだから、仕方がない。また別の方法を考えるとして、取りあえずはこれくらいの改善で満足しておこう。
「温めなおした冷やご飯」のデメリット
また温度低下の問題から少しズレるが、どうせ電子レンジを使って炊きたてご飯と同じ温度にもっていくのであれば、冷やご飯をチンしてみてはどうかと考えた。
冷やご飯は保温ご飯より、さらに水分が飛んでいるからだ。冷やご飯230グラムを、600ワットの電子レンジにかける。冷やご飯の温度は20度だが、これを100度近くまで上げるために、2分20秒必要だった。重さをはかると217グラム。水分は5%減ったわけだ。
前に見たように、ご飯が冷える過程で2.6%の水分が飛んでいる。チンする過程でさらに5%も水分が減るわけで、飯粒の含水量は保温ご飯よりさらに少ない。鍋に投入したが、温度はやはり180度に下がった。炒める過程で気づいたのは、ご飯のほぐれやすさだ。冷やご飯はあんなにほぐれにくかったのに、ウソのようだ。