長男は年額約78万の障害年金の対象になるのか?
【自立支援医療(精神通院医療)】
自立支援医療(精神通院医療)は、うつ病など精神疾患の治療のため通院による精神医療を継続的に要する病状にある人に対して医療費の自己負担を軽減する制度です。申請することで、原則自己負担が1割になります。ただし、自己負担が1割になるのは通院費と薬代で、入院費は原則3割負担です。また、世帯の所得によって月額2500円まで、のように自己負担の上限月額が決められており、さらには自己負担額の援助(医療費助成)が受けられる場合もあります。
ただし、自立支援医療機関の指定を受けた医療機関や薬局でないと利用できないこと、更新の手続きは毎年する必要があること、その他にも細かい注意点があるので、必ず窓口で制度の説明を受けるようにしましょう。
自立支援医療の相談、申請先は、住所地の市区町村の担当窓口(障害福祉課など)、または保健所・保健センターです。相談に行く前には、必ず電話で必要なものを確認するようにしてください。なお、次に触れる「精神障害者保健福祉手帳」と同時に申請することもできます。
【精神障害者保健福祉手帳】
長男は就労についても検討したいとのことでした。いきなり就労をすることは厳しいでしょうから、まずは就労支援を受けることになります。就労支援を受けるつもりであれば、精神障害者保健福祉手帳を持っていたほうがいいでしょう。
手帳の交付を受けられれば、公営バスの運賃や自治体の各種施設の利用料が、無料または割り引きになります。相談・申請先は、自立支援医療と同じく、住所地の市区町村の担当窓口や保健所・保健センターです。
次は、長男が自分も該当するのかどうか気にしていた障害年金についてです。
▼統合失調症、うつ病、認知障害、発達障害などが対象
【障害年金】
障害年金は病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に支給される年金です。「ひきこもり」状態の子供も支給の対象になるケースがあります。
障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やケガで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。長男の場合は、認定されれば障害基礎年金の対象になります。
障害基礎年金は、障害の程度により2級と1級があり、2級の場合は年額77万9300円、1級の場合は年額97万4125円(いずれも2017年度)になります。
なお、障害基礎年金はすぐに手続きをすることはできません。障害年金の手続きは初めて病院の診療を受けた日(初診日)から原則1年6カ月後になると決められているからです。
長男の場合、これから通院することになります。国民年金加入中に初めて病院で診療を受けることになるので、条件を満たせば障害基礎年金が支給される可能性があります。
障害基礎年金にはその他にも注意点があります。
例えば、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納があると手続きできません。また医師との相性の関係で病院を次々と変えている場合、原則として最初の病院で証明書を書いてもらう必要があります。そのほか、法令により定められた障害状態にあることなど認定にはいくつかの基準をクリアしなければいけません(*)。*障害年金の対象となる病気やケガは、手足の障害などの外部障害のほか、精神障害(統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など)やがん、糖尿病などの内部障害も対象になる。
障害基礎年金を検討する場合も、必ず窓口で説明を受けてください。障害基礎年金の相談、請求先は、住所地の市区町村の担当窓口(年金保険課など)や地域の年金事務所です。