命の体感時間を知って、お金を使う・溜める
また、中国・前漢時代の思想・哲学書『淮南子』の「説林訓」にはこんなくだりがあります。
「蜉蝣朝生而暮死 而盡其樂」
これも意訳すると、カゲロウは朝に生まれて日暮れに死ぬがその楽しみを尽くす、ということになります。
時計の刻む外的(物理的)な時とは別に、人には命の内的(実感的)な体感時間があります。
僕らが無限の時を生きることができる存在であれば、たとえば、期限を決めることなくいつまでも質素倹約を貫いて“コップの水”を溜めてもいいし、また滴り落ちるしずくをいつ舐め始めればいいのかを自由に決めることもできるでしょう(参考記事:「コップの水」を飲む人は、富裕層になれない http://president.jp/articles/-/17182)。
水を溜めるコップも人によっては、命の時間を無視してどこまでも質素倹約を続けてしまって、最後はプール一杯分の巨大なものになるかもしれません。しかし残念ながら、残された時間はそれぞれの個人に定められた運命によって決められています。せっかく溜めたプール一杯分の水も使われなければ、結局、国に税金として召し上げられてしまいます。
▼生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例する
幸福に向けて早く動き出すためにも、命の体感時間という“概念”についても知っておく必要があります。
一般的に、年齢を重ねるに従って、子ども時代とは違って年々月日が経つのが速く感じられるといわれています。「一年があっという間だね」「子供のころの夏休みって、ホント長くて楽しかったよね」というように。
そこで紹介したいのが「ジャネーの法則」です。これは、生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例する(年齢に反比例する)というもの。
ジャネーの法則
Y=k/X (Y:心理的な時間 X:年齢)
19世紀のフランスの哲学者、ポール・ジャネが発案した法則です。ジャネーは心理学的な手法によって、主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を説明しました。