同法では、「公の自治体」と「民間の事業者」の協働が定められた。市町村のほか、エコツーリズム事業者、地域住民、NPO、自然環境資源や観光の専門家、土地の所有者などが「エコツーリズム推進協議会」を組織し、協議会の総意として「エコツーリズム推進全体構想」を定めることで、地域の特色を活かした観光資源が、官民一体で保護されていくことにつながる。
加えて、特に保護を要するエリアを「特定自然観光資源」として指定すれば、そこを汚損、損傷したり、その場所にゴミや騒音をまき散らしたり、無断で立ち入ったりした者に、最高30万円の罰金を科すことも可能となった。
法律制定前から「エコツーリズム」は知られてはいたが、従来は、その概念への理解不足などから、町おこしで地域を活性化させたいと願う町村役場の意向と、欧米帰りのエコツーリズム・コンサルタントの企画が、なかなか噛み合わないといったことも多かったようだ。また、単なる自然体験をエコツーリズムと銘打って目新しく売り出すのみで、環境への配慮を怠っていた旅行会社も散見された。外国では、たとえば池の中にもぐっている野生のカバを見せようと、観光客にいっせいに石を投げこませるようなツアーが「エコ」と呼称されている例すらあったという。同法が、真の意味でのエコツーリズムの推進、ひいては観光と環境のバランスの取れた発展をもたらすことができるかどうか、注目していきたい。