【3】治療期間の見通し、復帰までのプランを立てる
病気の現状を把握後に、医師に確認したいのは「今後の手順」だという。
「つまりは治療の見通しです。これによって仕事の復帰予定を立てます。各治療のスケジュール、通院の頻度、副作用とその期間や、通院に要する時間、他の科を受診する必要性があるかどうかも聞くべきです」(桜井氏)
さらに、復職後の見通しに関しても医師から助言をもらうといい。
「例えば、勤務を再開してもいい時期はいつ頃か。復帰後に休暇をとる必要がある日数(入院治療期間、通院治療期間、検査の頻度と時間)はどれくらいになりそうか。業務量を増やしていくとすれば、いつ頃が適当か。おおよその見当を医師から引き出し、自分と照らし合わせる。会社に、何をどう伝えればいいかがわかってきます」
ただし、忙しい主治医にたくさんの質問を投げてもすべて回答を貰うのは難しい。質問は3~5つに絞り、あとは看護師やソーシャルワーカーなどに相談することも考えたい。
【4】会社への報告。誰にどう伝えるかは、自分の判断で
がんにかかったことを会社にどう伝えるか。病名を言うことで、自分がその後、働きづらくなるリスクもある。
「私は、必ずしもがんという病名を伝える必要はないと思っています。もちろん辞める必要もない。ただ、治療による体調不良や副作用がありうることは伝えるべきでしょう。また、産業医がおり、人事と連携した復職プログラムが整っていれば、それに従う必要はありますが、一番大切なのは『いつから、どれだけ働けるのか』という現時点での見通しや要望を伝えて、話し合うことだと思います」(桜井氏)
では情報開示を誰にすればいいのか。
「やはり直属の上司に報告することが多いです。その前に自分自身で『復帰後に会社に配慮してほしいこと』を明確にしておくといいですね。医師から聞き取りした話をベースに、『しばらく重いものを持てないので、かさばるものを運ぶようにします』『タイピングの速度が、半年間、2割くらい落ちます』といったように。企業には社員が健康を害するのを回避する安全配慮義務があるので、業務に関わることで影響や配慮が必要なら、それを伝えておく必要があります」(同)
1967年、東京都生まれ。30代でがんの診断を受ける。自らの経験や社会経験から小児がんや働き盛りのがん経験者支援の必要性を感じ、患者・家族の支援活動を開始。日本でのサバイバーシップを広げるべく、東奔西走中。