【田原】品ぞろえが豊富であることは先ほど聞きました。ITを活用することでリアルタイムのサービスが受けられることもわかります。価格や品質は、どうして他の業者より有利なのですか。

【松田】いま漁師さんが産地の市場に販売する額が約1兆円といわれています。築地や卸業者を通って飲食店に納入されるときには、それが約3兆円になっています。つまりそれだけ中間流通のコストがかかっているわけです。私たちは市場から買うだけでなく、漁師さんに直接オーダーをして買い付けたりしています。だからものによって安くて新鮮なものを仕入れることができます。

【田原】なるほど、流通の中抜きをするわけですね。ということは、築地の業者とはライバルになるのですか。

【松田】私たちは市場からも商品を仕入れるので、彼らにとって競合であると同時にお客さんでもあります。だから関係はいいですよ。築地に行ったら、ある方からは「旦那」って呼ばれることもありますから(笑)。

【田原】そうか。松田さんはいっぱい買ってくれる上客なんだ。

【松田】築地の流通機構は世界最高なので、それを否定するつもりは毛頭ありません。ただ、そこにぶら下がっているだけの業者さんは飲食店や消費者のためにならない。きちんと付加価値を生む業者さんと、これからも共存していきたいですね。