「使う教材は同じでも、使い方が違うので大丈夫。ただし今度は、問題を解き、答え合わせをしておしまいではありません。何度も声に出して読み、諳んじて、例文が即座に口をついて出るまでやってください」

例えば「私は寿司を食べたことがあります」という例文があれば、まず文構造を確認しながら“I have eaten Sushi before. I have eaten Sushi before. I have eaten Sushi before.”と3回、読み上げる。次に字面を追わず誰かにこの台詞を言っているシーンをイメージしながら“I have eaten Sushi before……”と3回、繰り返す。

「普通に問題を解くより数倍も時間がかかりますが、これを端折ってはいけません。テニスの素振りや楽器のフィンガリングと同じで、頭で理解したことでも体に覚え込ませるには、こうした作業が必要なんです」

詰め込みならぬ“染み込ませ”。これをやるには「正しい読み方」も覚えなければならないが、今どきはほとんどのテキストに音声CDが付いているので、発音を確認するのはさほど難しくはない。

「例えば、dangerousの綴りを“ダンゲロウス”と唱えながら書いて覚えた人がいます。もちろん字面を見ればわかるでしょうが、リスニングでネーティブの言う“ディンジュラス”が聴こえたときに、パッとそれとわかるかどうか。発音できることは、聴きとれることでもあるのです」

こうして1冊の文法テキストを最後までやり終えたら、最初のページに戻る。同じことを2周、3周……と繰り返すのだ。5周目を終えたら、次の文法テキストに手を付ける。

「すでに1回やったことですから、周回を重ねるほどラクに、速く、回せるようになります。中学英語で覚える文法は限られていますから、2冊目のテキストは単語や例文が変わるだけで、新たに覚えなければならないことは格段に減っています。文法テキストは2冊もやれば十分です」

このやり方で基礎を固めれば、長文読解でもリスニングでもまったく歯が立たないということはなくなる。さらに、海外旅行に不自由しない会話力も自然と身についてしまう(日常会話の85%程度は中学2年までの英語でカバーできる)。

とにかく何度でもいいから、口を動かし、声に出して、読み、諳んじることだ。

「この学習法は、図書館や喫茶店ではできません。語学の習得は静かにはできないからです。トイレでも、ガレージの車の中でも構いません。心おきなく声が出せる場所を確保してください!」