オリジナルの動画広告フォーマットを追求

藤村厚夫(ふじむら・あつお)●執行役員/メディア事業開発担当シニア・ヴァイス・プレジデント

【藤村】まだ動画に関し次の本質的な一歩は何かを見極めている段階ですが、スマートデバイスの上ではテレビやパソコンとは異なるユーザー体験が起きると思っているので、そこにはなるべく自分たちが関わっていたい。たとえば、もし非常に短い尺の動画が重要だということになれば、それが潤沢に供給される仕組みになっていかなければいけません。

――最近の具体的な動画の取り組みとしては、どんなことがありますか。

【藤村】今年5月に動画ニュース専用の「動画」チャンネルを開設しました。また、サッカーのワールドカップに合わせて、スポーツチャンネルでスポーツメーカーの動画広告を配信しました。我々はスマートな操作性やユーザー体験を推進してきた立場でもあるので、この動画広告は従来の標準的なものを押し込むのではなく、当社のエンジニアが「SmartNewsで見る動画広告はこういうものがいい」と考えて開発したオリジナルの広告フォーマットです。

過去、ガラケーやスマホではなかなか高単価な広告が現れませんでした。その理由として業界では「面積が小さいから安い」と言われていますが、私は納得していません。大画面のテレビを見ているのも、小さなスマホの画面を見ているのも一人のユーザーです。広告の価値はそのユーザーの注意や関心をどれだけ吸引できたかによって測られるべきです。

もちろん乱暴な注意の占有の仕方は嫌われますが、動画広告がSmartNewsのなかで適切な位置に、適切なサイズで、大きなインパクトをもって表示されるようになれば、テレビコマーシャルと同じくらいのバリューを持つものだと認識されていくでしょう。

SmartNewsというよりスマートフォンの上で適切な広告フォーマットが生まれ、それがユーザーの注意をきちんと引き寄せ継続していくものであれば、バリューはテレビと同じになってくると思うので、そこを目指してつくり込んでいく取り組みが私たちには必要です。時間はかかると思いますが。

藤村厚夫(ふじむら・あつお)
執行役員/メディア事業開発担当シニア・ヴァイス・プレジデント

1954年、東京都生まれ。78年法政大学経済学部卒業。アスキーで月刊誌編集長、ロータス(現日本アイ・ビー・エム)でのマーケティング責任者を経て、アットマーク・アイティを創業。その後、アイティメディア会長として同社をマザーズ上場に導く。2013年よりスマートニュースに参画。デジタルメディアの将来像設計を主題に活動中。

堅田航平(かただ・こうへい)
財務担当ヴァイス・プレジデント

1979年、東京都生まれ。2002年東京大学法学部卒業。インドでスタートアップの立ち上げに関わった後、モルガン・スタンレー証券の投資銀行部門などを経て、08年ネット生保の先駆けであるライフネット生命保険に参画。企画・事業開発・上場準備などを担当した後、13年執行役員CFOに就任する。14年、スマートニュースに入社し、現職。
(宮内 健=聞き手・構成 梅原ひでひこ=撮影)
関連記事
創造力ある変人社員を120%生かすには
3人に2人が毎月利用! スマートニュース「高利用率」の秘密
グーグル流人材活用の秘密
日本とアメリカ、働き方の本質的な違いとは
イノベーションを起こすための人材採用とリテンション