また、経営破綻により、ソフトバンクがウィルコムの支援企業になったことも幸いした。「いままではKDDIやNTTコミュニケーションズなどから回線を借りていたが、それらをソフトバンクテレコムに切り替えた。グループレートにより、インフラコストがさらに下がった」(寺尾氏)。
だれとでも定額を始める前には、同社の主力はウィルコムのユーザー間での通話が無料となるプランだった。カップルの長電話需要にユーザーを増やしたが「恋愛が冷めると電話をしなくなり、それが解約につながる。網内定額の弱点だった」(寺尾氏)と振り返る。
だれとでも定額は、ウィルコム内だけでなく、他社の携帯電話、固定電話など相手を問わず、24時間定額となる。そのため、契約したユーザーは、多くの人に電話番号を教えるようになる。「カップルの長電話用途ではすぐに解約されるが、電話番号をいろんな人に教えるようになると、解約しづらくなる」(寺尾氏)という。
賢いユーザーであれば、長電話をする際に10分ごとに切断し、再発信すれば通話料を無料にすることできる。しかし実際は、親しい相手であれば10分で切断することも可能だが、仕事上のトラブルの通話ではそんなことはできるわけがない。結果、無料通話の範囲を超えた通話となり、有料通話として収益につながっていく。
網内定額のみのころは、24時間で何分しゃべっても無料であったため、収入につながらなかったが、だれとでも定額によって他社にかけるようになり、結果、長電話によって通話料収入を得られるようになった。インフラ投資もかかっていないため、「定額でも儲かる」構図が描けたのだ。