「商品へのこだわりも思い入れもない」
6.プレゼンしか能のない営業マン
なぜ、営業マンの仕事の仕方に差が出るのか。「要は商品への思い入れの違い」と総合重機メーカーのE氏はこう話す。
「商品に思い入れがある営業は製造方法から何から知っていて、工場の様子も目に浮かぶように話してくれて話が断然面白い。質問にも、“それはできまっせ、ただこれはだめ”と即答です。“なら頼むわ”と簡単に決まる。もっとすごいのは商品に自信があるから逆に、“それやったらこっちのほうがいい”と競合の商品まで紹介してくれる。圧倒されます」
精密機器メーカーのB氏も「営業としてこだわりの差が力の差になる」という。
「こだわりがある人は話の中に設計や製造の話題がぽんぽん出てくるので、“この人は全体像をつかんでいる”“社内調整力がある”と安心できる。対照的なのは、とりあえずこちらの話を聞いて持ち帰るだけという感じの営業マン。持ち帰ったきり来ない」
プレゼンの仕方にも差が出るという。
「デパ地下でも上手な販売員はいきなり説明せず、まず試食をさせて興味を引きます。できる営業も最初にこちらが食いつく話を振り、興味を引き出してからプレゼンを始める。反対に、とにかく見てくださいと資料を開くのは逆効果。営業マンはデパ地下に学ぶべきです」(B氏)
最近はプレゼンの場をアレンジして、資料を説明するだけが営業の役割と決め込み、領域を限定する営業マンが多いという。この視野狭窄をいかに広げるか。
「一番共感を覚えたのは、うちの商品を自分の営業先に紹介したいと営業斡旋的なこともしてくれた営業マン。それだけ研究熱心で役に立ちたいという熱意が伝わりました」(電子機器メーカー・A氏)
(松田健一=撮影)