何故インフレは加速しないのか
他方で、関税政策によって予想されたインフレの加速だが、物価統計を確認する限り、まだまだ限定的だ(図表2)。直近6月の消費者物価(CPI)は総合指数が前年比2.7%と2カ月連続で上昇が加速したが、懸念されたほどの伸びではない。特に、関税によって上昇の加速が見込まれた商品価格に関しては、同0.6%上昇にとどまっている。
CPIに先行する生産者物価(PPI)に関しても、直近6月は1.7%と上昇が2カ月連続で加速しているが、懸念されたほどの加速ではない。この理由は明らかで、企業が関税政策と国内需要の動向を見定めて、価格転嫁を控えているからである。つまり各企業は、自らの利益を犠牲にして引き上げられた関税分のコストを吸収しているわけだ。
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