株と円の乱高下でアベノミクスへの信頼性が揺らぐ中、高気圧酸素治療を受診した安倍晋三首相の体調に再び注目が集まっている。首相は6月8日、ブレーンの1人である谷内正太郎内閣官房参与に勧められ、東京医科歯科大学附属病院へ。約2時間の治療後、首相は記者団に「すっきりしたかな」と話した。

高気圧酸素治療は、2気圧以上で密閉された装置の中で100%の酸素を吸入、全身に酸素を供給する治療法(同院高気圧治療部HPより)。町中の酸素カプセルとは別物で、傷の治りを早めたり、CO中毒などの救急疾患や慢性骨髄炎などの慢性疾患、難治性潰瘍の治療などに効果があるという。

「ただでさえ首相には潰瘍性大腸炎の持病があるだけに、菅義偉官房長官や首相秘書官らは心配して、夜9時以降は飲食せず帰宅して休むように進言している。だが首相はハイテンションで周りの言うことを聞かない。でも超過密日程が続き、さすがに疲労が蓄積したため、気分転換を兼ねて酸素を吸った」(官邸関係者)

その後も安倍氏はサミット出席などフル回転。外見上は健康そのものだが、2007年に潰瘍性大腸炎を悪化させて首相を1度辞任しているだけに、「実際は相当悪いらしい」「いや、本当に元気だ」と政界の見方は真っ二つに割れている。

「国会答弁の際、ほかの議員は用意された水差しの水を飲むが、首相は大腸のことを考え、白湯をポットに入れてゆっくり飲んでいます」(同前)

首相は、現在、アサコールという腸の炎症を抑える薬を服用しており、調子がいいとされるが、国会審議中に首相が何度か中座したことも憶測を呼んでいる。

そもそも安倍氏が潰瘍性大腸炎になったのは20代半ばのこと。ひどいときは下痢のために1日に20~30回もトイレに駆け込み、夜も4回、5回トイレとベッドを往復。首相退陣前もひどい下痢に悩まされ、疲労困憊の揚げ句辞任した。

「当時の安倍氏は周囲から批判されないよう、昭恵夫人ら家族との会食も控えるなど我慢を重ねた結果、ストレスが増し病気が悪化する悪循環に陥った。その反省から今回は“どう思われてもいい。やりたいことはやる”と宣言。家族と頻繁に会食し、今回の治療も行った」(同前)

前回の失敗に懲りて体調管理に努めているらしいが、暗雲漂うアベノミクスの先行き同様、楽観は禁物だ。

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