判断を患者側に丸投げしない

インフォームド・コンセントのためにも、医療に関する情報は可能な限り客観的に提供されなければなりません。特定の選択肢に誘導するような提示は避けるべきです。そのうえで、患者さん自身が十分に理解し納得して、自らの価値観に沿った医療を選ぶことが理想でしょう。

とはいえ、現実はそう単純ではありません。医療の選択には必ず何らかのトレードオフがあります。たとえば、私の母の場合、大腸内視鏡検査には「つらさ」というデメリットがありますが、一方で「将来の大腸がんのリスクを下げる可能性」というメリットもあります。ややこしいのは、検査をすればがんが必ず防げるという保証はないこと、そもそもがんにならない可能性のほうが高いこと、さらに検査自体にもまれとはいえ後遺症を伴う合併症のリスクがあることなど、複数の要素が複雑に絡んでいる点です。

胃内視鏡検査
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一度の説明ですべてを理解するのは容易ではありません。だからこそ、患者さん側は医師に判断を委ねたいと思うこともあるでしょう。ですから、医師は情報だけを渡して患者側に判断を丸投げするのではなく、患者に寄り添い、意思決定を支える役割を果たすべきなのです。