子どもが不登校になったらどうすればいいのか。児童精神科医の齊藤万比古氏は「不登校が長期化すると、苦しさをわかってほしくて親に暴力をふるう子どもは少なくない。ひるまず『言葉で気持ちを言ってほしい』と伝え続けることが大切だ」という――。
※本稿は、監修・齊藤万比古『不登校のはじまりからおわりまで』(辰巳出版)の一部を再編集したものです。
暴力が悪いことだとわかっていても衝動を抑えられない
不登校が長期化すると、子どもの家庭内暴力が起きるケースは少なくありません。
親(主に母親)にあれこれ命令したり、指示どおりにしなければ大声で騒いだりすることがはじまりで、そのうちに殴る、蹴るという暴力へとエスカレートすることもあります。父親を避けて母親に甘え、横暴になるのが思春期の不登校なのです。
子どもが激しく感情をむきだしにするのは、不満やいらだち、焦燥感などの苦しい気持ちのあらわれです。子どもは親に助けを求めているのです。
親がそのことに気がつかず、登校を強いたり、将来のことを口にしたりすると、子どもは混乱し、苦しい気持ちをわかってほしくて、暴言を吐いたり、叩いたり、蹴飛ばしたりといった暴力行為に至ってしまうことがあります。子どもは、暴力や暴言が悪いことだとわかっているのに、母親に対してだからこそ衝動が抑えられなくなってしまうのです。