最低でも2つの軸で考えたほうがいい

コンピュータのプログラムは0と1の羅列でできています。だから、私の考えるデジタル脳は、0か1という単純思考を指します。

逆にアナログ脳は、その0から1までの間をどれだけの“点”で埋めているかで決まります。当然アナログだから個人差がある。

たとえば、0.1、0.6、0.9ぐらいしかない人。0.11、0.12、0.13……とさらに細かく刻む人もいるでしょう。アナログ脳を鍛えるとは、なるべく多くの点で埋められるようになることを意味します。

具体的には「○○は××である」と決めつけるデジタル脳よりも、いろんな可能性を想定できる人が優秀なアナログ脳です。

では、実際にアナログ脳を鍛える方法を教えましょう。それは、人や物事を分析する時に、最低でも2つの軸で考えるトレーニングをすることです。

たとえば、取引先に自分を嫌っている担当者がいたとします。そのとき、1つの軸だけで考えてはいけません。敵か味方かという2分割思考ではデジタル脳です。

光る脳のイラスト
画像=iStock.com/CoreDesignKEY
※画像はイメージです

結論を急ぐ必要はない

それ以外に、自分に対して有益な人間か、有害な人間かの軸でも考えてみる。有益な相手なら、ムカツク人間であってもつきあう選択肢は当然出てきます。結論を急ぐ必要はありません。

アメリカの精神医学では患者を5軸で分析してきました。①精神疾患②パーソナリティや知能レベル③身体疾患④その患者を取り巻く社会環境の問題点⑤全体的(社会的)な機能の評定の5軸です。

やはり、人間相手の分析はそこまで緻密にやる必要があります。その意味では、たとえば大事件を起こした犯人に対して日本のメディアが、犯人を取り巻く社会環境やパーソナリティだけで分析しているのは、一面的だと思いませんか。

ビジネスシーンでも最低「敵か、味方か?」「有益か、有害か?」の2軸で考えてみてください。敵でも有益な人間もいるという発想です。

とはいえ、「味方で有益な人物」と分析しても、1割ぐらいはあなたのことを嫌ってるかも、という余地は残すべきです。100%味方、100%有益と決めつけないことで、良好な人間関係を築けるでしょう。