本来、落語は聴いて楽しむもの。落語家のしゃべりそのものがすべてという世界観。その分、聞き手は自由に想像を膨らませられるし、同じ演目でも落語家によって、タイミングによって変わってきます。
しかし……本書ではあえて漫画で表現しました! “読んで楽しむ”落語に挑戦です。まだ落語を聴いたことがない人だけでなく、落語通の方にも楽しんでいただけるよう、せっかくなので登場人物は全員、猫に演じてもらいました。PHP研究所から好評発売中です!
本書は、初天神(はつてんじん)、粗忽の釘(そこつのくぎ)、死神(しにがみ)、目薬(めぐすり)、文七元結(ぶんしちもっとい)の計5つの演目で構成されていまして、今回はその中の1演目をお目にかけましょう。
《目薬》――芋ばかり食べている、仲のいい夫婦がいた。男は目を悪くして働けず、芋以外の食べ物がなかったからだ。しかしそろそろ働いてほしい。おっかあはなんとか目薬を手に入れたが、夫婦は能書きがなかなか読めない。そして、勘違いから目尻ではなく、女の尻だと思い込む。目が悪いのは男なのに、どういうわけかおっかあが奮闘することに……。



©Shiraku Tatekawa & Kazuhiro Ito/PHP