■メリット2
海外子会社からの各種の受け取りへの課税が非常に有利だ。日本の本社がインドなどの子会社株式を直接保有していた場合、
●配当の受け取り:一定の条件で95%のみ非課税
●金利の受け取り:税率約40%
●管理料の受け取り:税率約40%
これに対し、シンガポール統括会社を介してインド子会社などの株式を保有していた場合、
●配当の受け取り:一定の条件で100%非課税
●金利の受け取り:税率約17%
●管理料の受け取り:一定の条件で100%非課税
と断然有利である。
■メリット3
2010年の日本の税制改正によってタックスヘイブン対策税制が改正され、持ち株会社が2つ以上の製造会社・販売会社に対して統括業務を行う場合、一定の要件を満たせば、統括会社は事業基準にタックスヘイブン対策税制の適用を除外され、合算課税を回避できることとなった(=子会社の利益が課税対象額に加算されない)。詳細は略すが、シンガポールに2つ以上の拠点を持ち、かつ一定の条件を満たした場合、外国子会社合算税制の適用除外を受けることができるようになった。このようにアジアにおいて多面的に展開を行っていく企業は「統括会社」として、合算課税を免れることが可能となっている。
以上のような恩恵を得られることを踏まえ、これからアジアを目指す企業には、日本からの直接投資ではなく、シンガポールを通じた投資スキーム、事業展開を推奨したい。
(撮影=坂本道浩)