「モノよりコト」の消費トレンドに通じる
なぜなら、近年の消費のトレンドは、モノよりコトで、それはミニマリストたちが大切にする価値観でもある。自動車や住まい、職場などのシェアビジネスが発達した結果、持たなくても生活で困らない環境も整いつつある。モノは飽きやすく不要、あるいは邪魔になることもあるが、思い出は心に残るだけだ。冒頭で挙げたホテルライクな暮らしもそうだが、すでにミニマリストに親和性が高い価値観が、現代社会には浸透してきている。
しかし、執着があるモノを捨てられないのも、必ずしも非難されることではない。今でもおそらく、多数派は管理しきれないモノを持つ人たちだろう。モノに囲まれる安心感も大切だし、いざというときに役に立つモノもある。佐々木も非常用品は持っていたほうがよい、と書いている。何をどれだけ持つのか、それは住居費に見合ったモノなのか、捨てた人も捨てられなかった人も、年の初めに改めて検討してもよいかもしれない。そして同居人がいる人の場合、モノを捨てる行為を強要しないことも、関係を良好に保つために忘れてはならないポイントである。