最も数字を持つ男は、数字を追わない

木村拓哉は96年の『ロングバケーション』以降、フジテレビのドラマの看板枠である「月9」の主演を11回と、最も多く務めてきた。平成の連続ドラマの視聴率トップ5は全て木村の主演作である。『HERO』ひとつとっても、11話全てが視聴率30%超えという日本の連ドラ史上唯一の快挙を遂げており、劇場版の興行収入は81.5億円……など、木村を表す記録的な数字は多く存在する。日本の芸能界で最も数字を持つ男と言ってもいいだろう。

だが、近年の発言にふれると、自分たちが力を結集して創り上げた作品に対して、ずっと「月9」のような商品的な煽りをされることや、自身が芸能界の真ん中のような表現をされること、視聴率のみでその成果をジャッジされることなどに抵抗があったのではないかとも思う。