全力で頑張る嫁の夢を、全力で手伝う

一緒に暮らし始めて間もなく、会社員をしていたまさみさんが料理研究家の夢を叶えるために仕事を辞めて、専門学校に通い始める。まさるさんは待ってましたとばかり、料理や掃除を一手に引き受けた。夢にむかって一生懸命のまさみさんを手伝うことに理由はない。まさるさんは樺太の時にしみついた“家族一丸となる”が、つべこべ言わずに自然とできるのだ。

「『今の若い者はなってない』と言う大人が多いけれど、俺はそう思わない。自分をしっかり持っているし、目上の人に対して思いやりもある。年寄りは経験がある分、補佐に回ればいいんだ。そのほうが万事うまく行く」

その言葉通り、料理家研究家になる夢にむかうまさみさんの仕事の幅は広がり、忙しい日々を送ることになる。まさみさんが専門学校に通いだしてから8年目のこと、70歳のまさるさんに転機が訪れる。まさみさんに初めての書籍の仕事が舞い込み、アシスタントが足りずに困っていたところ、「俺がやろうか、って志願したんだよ」。