骨はからだの中で最も若返りスピードの速い臓器

骨粗しょう症の検査④必要な栄養素が足りているかを調べる

ビタミンDなど、骨に必要な栄養素が足りているかは血液検査で調べます。

血液細胞
写真=iStock.com/Pixelimage
※写真はイメージです

●250HビタミンD ★★★
ビタミンDが代謝されてできる物質で、血中の量を測ることでビタミンDの過不足を確認することができる。

●カルシウム ★★★
カルシウムは生体内で最も多いミネラル成分で、主として骨や歯を形成している。大人では約1kgのカルシウムがあると言われており、そのうちの99%が骨と歯に、残りの1%が血液中や細胞に存在して機能している。

●リン ★★★
体内に存在するミネラルの中ではカルシウムの次に多く、成人の体重の約1%を占める。その85%は、カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯の成分(リン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウム)として存在し、骨の強化を担っている。

骨は、海綿質が年間40%、骨皮質が7%程度も新陳代謝する、からだの中で最も若返りスピードの速い臓器です。

すなわち、きちんと治療や運動、食事の改善等をすれば、2年とちょっとで確実な若返りが可能ということになります。同じように血管も、若返り可能と言われていますが、これほど短期間で刷新できる器官は骨だけです。

薬1つ取ってみても、骨の治療法はずいぶん進んでいます。

「1年に1回」の投与で治るケースも

たとえば薬のコスパを評価する国際基準NNT(Number Needed to Treat:治療必要数)に則って血管を若返らせる「スタチン」という薬を見てみると、悪玉コレステロールを減らし、血管がさびるのを予防して、心疾患等の発症を予防するには、150人から200人に投与して、やっと1人救えるかどうかという程度しか効果がありません。NNTとは、一人の患者さんを救うために、何人の患者さんがその薬を服用する必要があるかという、疫学上の指標です。

一方の、骨粗しょう症の治療薬は、7人に投与したら1人の骨折は予防できるという非常に効率のよい薬です。

ただ逆に、常に新陳代謝しているということは、治療をやめてしまえばすぐに悪い状態に戻ってしまうということです。

骨粗しょう症の最大の要因は性ホルモンの減少なので、いくら薬で骨が若返ったとしても、それは薬が効いている間だけ。薬がからだから抜けた瞬間に、骨の壊し屋である「破骨細胞」の勢いは復活し、骨を形成する「骨芽細胞」の働きを凌駕して、ほんの1~2年で元の木阿弥、骨の量は減ってしまいます。

つまり、骨は短時間で劇的な若返り効果が出る反面、予防・治療は一生涯続けなければならないのです。

薬を一生飲み続けると聞くと、がっかりされるかもしれませんね。でも、投与するのは「6カ月に1回」あるいは「1年に1回」だけだったらどうでしょうか。

骨粗しょう症の治療薬にはさまざまな種類があり、患者さん一人ひとりの症状やニーズに応じたテーラーメイド治療ができるようになっています。