記憶を定着させるために“スマホ”をフル活用

当初、筆者は前述の「Hapa英会話」をはじめとしたさまざまなチャンネルを使って英語を勉強した気になっていましたが、しばらくして「英語力が思ったほど身に付いていない」ということに気づきました。

それもそのはずでした。受動的に見ているだけでは脳に負荷がかからないので、動画の内容を記憶できていなかったのです。そこで、わざと能動的に脳に負荷をかける、アウトプットを重視する学習方法を組み合わせるようにしました。

具体的な方法としては、次のような3つのステップです。

① 英語の「授業動画」で表現の使い方を学ぶ
② 学んだ表現を用いて、「英作文」をしてみる
③ 英作文を、先生やAIに「添削」してもらう

例えば、YouTubeで英語を教えてくれる動画を見て、“want to”という表現を学んだとします(①)。

そして次に、“Do you want to close the window?”(「窓を開けてくれない?」)、“Do you want to write an E-mail to him?”(「彼にメール書いてくれない?」)などと自分で英作文をしてみます(②)。実際にペンを動かして書いてもいいですし、筆者のようにスマホのメモに打ち込んでもいいでしょう。スマホに全て記録するようにすると、後から簡単に見返せて英語力の伸びを実感しやすくなりました。

その上で、この文章が表現として適切かどうかを先生、あるいは「ChatGPT」や「Gemini」といった生成AIに添削してもらうのです(③)。筆者が受験したタイミングでは、「Grammarly」という英作文を添削してくれるアプリがはやっていた時代だったので重宝しました。学校の授業では不足しがちなアウトプットの練習をいつでも一人で行えたので、“東大入試で必要とされる英作文の力”を身に付けることができました。

画面上にGoogle Gemini、OpenAI ChatGPT、Microsoft Copilot各種生成AIのアイコン
写真=iStock.com/Robert Way
※写真はイメージです

帰国子女を抑えて、学年1位になった

動画を見た後は、その内容を忘れないように自分でアウトプット。しかし、それだけでは正しく内容を理解できたかどうかがわからないため、添削してもらう……。これを繰り返すのです。

このようなスタイルで進めていくと、YouTubeで学んだ内容を“非常に効率よく、頭にインプットできる”ようになります。②や③の作業は、スマホを使いこなすいまの世代の生徒たちなら、何も抵抗なく進められると思います。教科書や問題集だけの勉強では“やらされ感”が出てしまうことがありますが、この方法であればスマホを使っていながらも「良い勉強」ができるのです。

筆者はさらに、AIや日本人の英語の先生に添削してもらうだけでなく、YouTubeで習った表現をALT(外国人の英語の先生)との「会話」で使ってみるというチャレンジもしていました。書くだけではなく、話すことも取り入れたのです。

すると、当初は英語に苦手意識のあった筆者ですが、みるみるうちに英語の成績が上昇し、学年に30人ほどいた帰国子女を抑えて学年1位になりました。海外に旅行した経験もなく、もちろん英語・英会話教室にも、留学にも行ったわけでもありませんでしたが、国内にいながらにして独学で英語力を伸ばすことができたわけです。これは紛れもなく「スマホ」と「YouTube」のおかげです。