「他社からの評価」を踏まえて行動する
【澤円】自信がなければ行動する勇気が出ないと考えがちですが、自信なんてなくていいから、まず行動しようと。
【片石貴展】そうなんです。もうひとつ具体的なアドバイスとして、「自分についての認識」と「他者からの評価」を一致させるようにすると、より効果的な行動になるはずです。
行動といっても、当てずっぽうに動くだけではなかなか結果に結びつきませんし、自信も育まれません。そこで、「自分はどう見られているか」「相手が望んでいるものはなにか」という「他者からの評価」をきちんと踏まえて行動する。そうすると、行動から得られる経験の質がまったく変わります。
面白いのは、「他者からの評価」を知る機会もまた、行動によって得られる面があることです。だからこそ、勇気を持って「まず行動する」ことが大切だと思います。
「流行」に目を奪われてはいけない
【澤円】いま、世の中には生成AIが普及しつつあり、今後個人が「やりたいこと」を実現しやすい環境も次々と生まれてくるはずです。こうした時代背景や環境変化をどう見ますか?
【片石貴展】チャンスがたくさんあるというのは確かですが、一方で、そこには眩惑めいた面もあり、逆に複雑性が増していくような気がしています。
というのも、「いま流行っているもの」というのは、基本的に「誰でも触れられるもの」だからです。つまり、それはあくまで手段でしかありません。
どんな時代にも、「流行っているからやろう」「このテクノロジーで稼ごう」と考える人は多くいて、その具体的方法もシェアされますが、いま起きている事象にフォーカスしている時点で既にレッドオーシャンにいますよね? それこそ、「やりたいこと」を見つけようと焦っていると、流行に目が行きがちで、結果として難しい道を選ぶことになる可能性があります。
【澤円】まさに、わたしもインターネットが登場したとき、同様のことを感じました。あくまで生成AIを手段として捉えて、自分の「好きなもの」との掛け合わせで考えるとよさそうです。
【片石貴展】個人的には、いま流行っているものに、「古のもの」をどのように掛け合わせるかが鍵になると見ています。「古のもの」とは、現在から見て古いものでもあるし、「自分自身が積み重ねてきたもの」という意味でもあります。
わたしは、15歳の頃に原宿の古着屋に通いはじめたので、かれこれ15年にわたりストリートファッションを体験してきました。ストリートファッションというと、一般的にヒップホップのイメージが強いかもしれません。でも、本来は様々なオルタナティブなカルチャーがミックスされた表現であり、その点にこそストリートファッションの変わらない「永久性」や本質があります。
そうした「古のもの」に、SNSという手段を掛け合わせて新しいビジネスを創造することで、yutoriは大きくなってきたと考えています。