老いてもなお心身ともに健康でいるには何が必要か。老年精神科医の和田秀樹さんは「『年をとったら枯れるのが美しい』なんてマスコミの大ウソ。そんな意識は捨てて、男性も女性もどんどんときめくことが大事」という――。

※本稿は、和田秀樹『50代うつよけレッスン』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

年配者がときめきを感じられる社交場を

最近、私はいろいろなところで半分は冗談、半分本気で話しているのですが、中高年向けの「インテリ系ホストクラブ」をつくってはどうかと思っています。

今のホストクラブには押しの強い若いホストが多いそうですが、そうではなくて、40代、50代の大卒や大学院卒で知力の高い男性が話を聞いてくれるクラブです。

あるいは、「臨床心理士クラブ」もいいかもしれません。臨床心理士の資格を持っている男性がホストになって1時間3万円などで話し相手になってくれるクラブです。じっくり悩み相談に乗ってくれたり、恋愛ごっこのような関係を楽しめたりするクラブなら、日常のストレスを発散する場としても最適です。臨床心理士の資格を持つ女性がホステスになって、客の悩みをじっくり聞いてくれるクラブもいいかもしれません。

とにかく、これから高齢者が増えれば増えるほど、年をとってからときめきを感じられるような場が社会的に必要になってきます。

「年をとったら枯れていくのが美しい」なんて、マスコミの大ウソです。

そんな意識は捨てて、男性も女性もどんどんときめくことが大事です。

仲良く牛乳を飲む老夫婦
写真=iStock.com/eggeeggjiew
※写真はイメージです

後述しますが、男性ホルモンを増やしたい場合は、「セックスミネラル」とも呼ばれる亜鉛が含まれている牡蠣やニンニクを積極的に食べるのもいいでしょう。

欧米では解禁されているポルノグラフィー

私から言わせれば、年をとったら、ときめきだけでなくて性的生活も必要です。性的な関心が強い人ほど健康寿命も延びるため、性規制はもっとゆるくしたほうがいいと考えています。

たとえばアメリカやヨーロッパの国々では表現の自由という観点からポルノグラフィーが解禁されていますが、先進国と呼ばれる国のうち、ポルノを解禁していないのは日本くらいです。

男性ホルモン補充療法以外で、男性ホルモンの分泌をもっとも速く促すのは、実はこうしたポルノの鑑賞です。

日本では高齢者がエロ動画やヌード写真などを見ていると眉をひそめられるような風潮がありますが、若返りという点から見れば、性をタブー視すべきではありません。高齢者の多い日本こそポルノを解禁したほうがいいのに、政治家の頭が固すぎるのは残念なことです。