人間にたとえると、こんなかんじ
秋葉原で働くようになった2年前から、ほぼ毎日秋葉原で過ごしていますが、それまでも秋葉原は私にとって馴染みのある街でした。子どものころは夏休みの宿題を手伝ってもらう口実で、無線マニアで機械いじりが趣味だった父に、電子部品を求めて電気街によく連れて行ってもらいました。今でも新しいパソコンを購入する際は、その手の知識が私より数段上の父にアドバイスを求めて、秋葉原に同行してもらいます。ただし、メイド喫茶は父にとって居心地が悪いのか、誘ってもあまり行きたがりません。
私自身の仕事でも、2000年ごろから頻繁に秋葉原に通っていました。そのころはアジア各地で自国のコンテンツ産業を育成するため、日本の事例を学ぼうとする気運がありました。ちょうどその分野の研究に手を出していた私は、秋葉原とアジア各地とを頻繁に行き来していました。秋葉原駅周辺の再開発が始まった2005年ごろも月に一度は秋葉原に通っていたので、訪れる度に大きく変化している秋葉原の様子に毎回驚いていたものです。
さて、皆さんには「秋葉原」という街にどのようなイメージがあるでしょうか。私がイメージする「秋葉原」は、人間にたとえると、それほどイケメンでもないし、服装もぱっとしない、一見どこにでもいるような青年男性。しかし、なにか活力に満ちたオーラを感じ、なんだかおもしろいことが起きるかもと心浮き立つような期待をさせてくれる存在です。
彼はけっこう有名人で、世界中で彼の名前を知っている人がたくさんいます。しかし、彼がどんな人物か、うまく説明できる人はなかなかいません。ときどきテレビや新聞でも紹介されるのですが、かなり興味本位でおもしろおかしく伝えられ、それを鵜呑みにした人たちから誤解をされたり、忌み嫌われたりさえします。
ふだんの彼は、仕事の時も遊びの時もいつも楽しそうで、あえて一言で表せば「カワリモノ」です。しかも、彼の興味の対象はいろんなことに向けられていて、そのこだわりが半端ではありません。「そんなことに時間とお金を使うなんて、何の意味があるんだ? おかしな奴だな」と呆れられることもしばしば。しかし、彼はそんなことはお構いなしに、自分が楽しいと思うことに没頭しています。