サイドエフェクトが生じていないか
行為者のパワハラが止まったように見えたときのサイドエフェクトの例を2つほど紹介しました。これらの対策案についても考えてみましょう。
まずはパワハラ行為を止めて、勤務先も辞めてしまう人についてです。
この人が(退職してほしい人でなく)今後も活躍してほしい人材であれば、本人にその旨を伝えなくてはなりません。しかし、その際には同時に、パワハラ行為を止めなければ、それは叶わないことも伝える必要があります。
多くの場合、パワハラ行為者には、自身のパワハラ行為とよりシリアスに向かい合うよう促す必要があります。
(ここでは詳細の説明は割愛しますが、)本人が自らのパワハラ行為を認め、それを止めたい旨の意思表示をする場合には、カウンセリングにより改善することができます。
パワハラ行為者をサポートする人たちは、彼らがパワハラを止めたいのに、止められず苦しんでいるのが多いことも認識するとよいでしょう。
職場を管理する人たちは、「パワハラ行為者に『パワハラはNG』という制限が加わったらどうなるか」を見極めるようにしたいところです。
パワハラがなくなったように見えても、サイドエフェクトが生じ得ることを認識し、その人がどうなっていきそうか、よく話し合っておくのです。
太鼓持ちが出現しやすい職場
太鼓持ちの出現については、できるだけ注意深く観察します。太鼓持ちは、パワハラ行為者のよからぬ行いを(パワハラと呼べないように)変換して、組織内に広めてしまう人です。
太鼓持ちは、(パワハラ行為者が男性の場合でも、女性の場合でも、)パワハラ行為者よりも年下の男性であることが多く、パワハラ行為者といつも一緒にいることが多いのですが、太鼓持ちには見えない女性がそうであることなど、さまざまな例があります(特殊なケースでは、パワハラ行為者と太鼓持ちが愛人関係であったりもします)。
かなり注意していないとわからないこともありますが、職場の多くの人に考えを聞くと、考察の鋭い人がいたり、意外な正解を述べる人がいたりするものです。
太鼓持ちは、従業員同士の仲がよくない組織に現れやすいものです。
従業員同士の仲がよい組織では、皆が協力して村八分にしたりするため、太鼓持ちは居付きにくいのです。
ここで言う「仲がよい」とは、何かあると皆で飲みに行って、一緒に誰かの悪口を言っている――たとえば、こんなことを日常的にする人たちのことです。仲がよくないと、これもなかなかできないのです。
太鼓持ちは、パワハラをしないが性格はわるく、工作員のようなことをするのが好きです。逆に性格のよい人が太鼓持ちになるのは、ほとんど見たことがありません。
太鼓持ちは、自分は賢いと思っているのが特徴です。
彼らは組織の利益は考えず、自分の利益だけを考えて活動し、組織や他の人に有害なことでも厭わず行ってしまうので、要注意です。
早めの対策を講じることをお勧めします。