部下たちはヒヤヒヤしている
パワハラ上司がパワハラをしなくなっても、部下たちは相変わらずその上司の顔色を窺いながら、生卵でできた床の上を歩いている――いつどこで卵の殻が割れるかわからない状態で、ヒヤヒヤしながら働いている。そんな悩みの声を聞きます。
録音をしておけば「こんなパワハラです」と証明できるような行為はなくなっても、相変わらずその人がいることで、おかしなことが起こり続ける――1つの例をご紹介しましょう。
パワハラの行為者と一緒に働きたい人はいないので、その職場では、次々に人が辞めたりしますが、そうした中で、パワハラ行為者に上手く取り入って、組織内で自分のポジションを確保しようとする「パワハラ行為者の太鼓持ち」とでも呼ぶべき従業員が登場することがあります。
性格がわるい「太鼓持ち」
この「太鼓持ち」は、パワハラ行為者が(信頼やチームワークによって従業員をマネジメントするのではなく)恐怖によって管理するのを問題と捉えることはなく、その行為に自分が加担するのも恥ずかしいとは感じません。
もともとパワハラ行為者と同じように性格がわるいため、パワハラ行為者の言動で苦しむ人たちをパワハラ行為者と一緒に見て喜んでいるのです。
太鼓持ちは、自分がパワハラ行為者に上手く取り入っているのは、自らの処世術が長けているからと考えています。そして、パワハラ行為者の部下のように振舞うことで、組織内での居場所を確かなものにしていきます。
パワハラ行為者は、この太鼓持ちに対しても癇癪を起こしたり、性格のわるさを見せることがあります。何十年もの人生ではじめての友だちですが、そんな親友にも、楽しそうに意地悪をしたり、その反応を見て嬉しがったりするのです。
しかし、それまで人からこのように慕われたことがないパワハラ行為者は、太鼓持ちにたいへんな好意を寄せ、かわいがります。
彼らは気が合い、コンビとしての力を強めていきますが、同時に周囲の従業員には不安が増してきます。
「職場が一層不健康になっている」「こんな人たちと働いているのは恥ずかしい」といった、気のめいる思いに駆られてくるのです。