他大学との競争という課題

これほど多数の目標・計画を達成するとなると、結構な難事である。だが、それだけではない。他大学との競争という課題がある。

ここで国立大学の財政について少々ふれておく。収入(附属病院収入を除く)は、平均的にはおおよそ以下のような構成となっている(図表1)。すなわち、政府からの「運営費交付金」が約5割、授業料等の学納金が2割弱、官民種々のプロジェクトで提供される補助金等(「外部資金」と総称される)が2割強、その他の自己収入等が1割弱である。

運営費交付金の一部は成果連動で配分される。典型例としては、あらかじめ定められた一連の取り組みを指標(「共通指標」と通称される)にし、そこで大学がどんな成績をあげたかに応じて配分額が決まるのである。

大学どうしの比較の結果が予算額にストレートに反映

たとえば「常勤教員当たり研究業績数」という指標がある。いわゆる研究生産性を見るためのもので、ここでの大学の成績は、教員が生み出した業績(論文や研究書など)の数を教員数で除することで算出される。ただ、大学間には種々の面で格差があるため、絶対値だけでは不公平だというので、先行5年間での伸び幅をこれに加味する。つまり、成績向上に向けて大学がどんな努力をはらったかも見ようというわけである。ずいぶん精巧な仕組みである。

こうして大学ごとに成績が出るから、それらを互いに比較する。そして、成績の良否に応じて配分額が決まる。好成績であれば、最大25パーセントまで積み増され、他方、著しい不振の場合は25パーセント減となる。つまり、相対評価が行われるのである。

共通指標は、この「常勤教員当たり研究業績数」を含めて、教育、研究、経営の3領域にわたって合計11ある。比較の結果が予算額にストレートに反映するだけに、大学は互いにしのぎを削ることになる。