歯磨きは2分以内、2時間以内の飲食はNG

②フッ素入りの歯磨き粉で「2分間」、口腔内のブラッシングを行う。

このとき、フッ素を口の中に広く行き渡らせるよう意識します。そして磨き終えたらペットボトルのキャップ1杯、10㏄程度の水を口に含み、フッ素を口の中に行き渡らせます。30秒ほど口の中をゆすいだら、水と歯磨き粉を吐き出します。

もっとも、スウェーデン人の多くは、水でゆすがず、口の中の歯磨き粉を吐き出すだけで終わります。歯磨き粉が口腔内に残っても気にならない人なら、このほうがむし歯予防効果があります。

③歯磨き後、「2時間」は飲食やうがいをしない。

フッ素を2時間ほど口の中にとどめておくことで、フッ素が歯に定着するからです。それよりも早く飲食などをすると、せっかくのフッ素効果が薄れてしまいます。

④磨く回数は、1日「2回」。

磨く時間は、朝食後と就寝前です。逆にいえば、食後は必ず磨かなければいけないわけではありません。フッ素のむし歯予防効果を期待するなら、1日2回磨くだけで十分なのです(むし歯リスクの高い人は3回)。もちろん、毎食後に磨きたいなら、それでもかまいません。1日1回では、効果が薄いということです。

つまり、1日「2回」、「2センチ」ほど盛りつけたフッ素入り歯磨き粉で、「2分間」磨いたのち、「2時間」は飲食やうがいをしない。たった、これだけでいいのです。

フッ素濃度が1000ppm以下のものは効果が期待できない

フッ素にむし歯予防効果があるのは、一つはフッ素に「再石灰化」を促す性質があるからです。

むし歯菌が出す酸で歯のエナメル質からカルシウムやリンが溶けだすことで、むし歯は進行を始めます。食事をすることで口の中のpHが5.5以下になると、歯は脱灰を始め、その後、唾液の力で再石灰化を始めます。フッ素は、この再石灰化を補う力があるのです。

加えて、フッ素には歯のエナメル質をむし歯菌の酸に溶けにくくする力もあります。むし歯菌の働きを弱める力もあります。さまざまな点から、フッ素はむし歯を予防するうえで効果的なのです。

歯みがき粉
写真=iStock.com/artisteer
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むし歯予防に極めて高い効果を発揮するフッ素ですが、効果を十分に発揮するには濃度が1500ppm程度の歯磨き粉を使う必要があります。ところが、日本ではつい最近まで、効果の低い1000ppm以下の歯磨き粉しか販売が認められていませんでした。これは「フッ素は体に悪い」と危険視する声が、かつての日本に根強くあったからです。