なぜ社説の中身は読まなくていいのか

【高井】総合面なら「社説」はひとまず中身は読まなくていい。見出しを見て、関心があるテーマなら、読んでみてもいい、くらい。重要テーマに一区切りついたタイミングで社説は出てくるので、見出しだけは一応読んで「大事な話題なんだな」と認識しておけば十分でしょう。

【新倉】なぜ中身は読まなくていいんですか。

【高井】お好み次第だけど、たぶん、つまんないよ(笑) 「こうするべき」といった語り口で、「そりゃそうだよね」という正論がほとんど。

「国際社会は協力して問題解決に当たれ」とか言われても、困るじゃん。主流派というか保守的な見方や理想論みたいなものを知るには便利、とまで言っちゃうと、書いている人たちに怒られそうだな(笑)

僕は「まとめ記事」的に読むときがあります。ニュースは日々揺れ動くので、「あの問題、結局どうなったんだっけ?」と分かんなくなっちゃう。社説はたいてい「経緯と結論のまとめ」から「こうあるべき」という構成になっているので、一連の流れのダイジェストとして便利です。

【布施川】連載記事はどうですか。

「上澄みの上澄み」だけを読める連載

【高井】日経新聞の連載だと「迫真」はオススメ。これ、けっこうな人数で取材チームを組んで、とにかく情報を集めまくって、えりすぐりの面白いエピソードをつなげて作ってる。この連載の担当になると、記者はすごい大変。

僕もロンドンにいた頃、イギリスがEU(欧州連合)離脱を決めたときに「迫真」の取りまとめをやって死にかけました(笑) 普通の記事5本分くらいのエネルギーを1本に投入している感じかな。

【布施川】「上澄みの上澄み」だけを読めるんですね。

【高井】元のニュースを知らないと面白さが伝わらないことがあるので、絶対読めとまでは言いません。正直、当たり外れもある。でも、「ニュースの裏で実はこんなことがあったんだよ」みたいな、ここ以外で読めない情報が入っていることが多い。場面で展開するルポルタージュ調だから、人間臭い話が多くて読んでいて楽しいしね。

ついでに連載記事の基本的なつくりと読む・読まないの見分け方も話しておこう。「迫真」とかの4~5本の長めの連載には「2」とか「3」ってナンバーが振ってあるでしょ。連載が2~3回の時は「上・下」か「上・中・下」になる。四角に囲んであっても、ナンバーや上中下の記載がないのは単発の企画記事です。

【新倉】ほんとだ。この日の「迫真」は「3」ですね。