投資しないで1億円を積み立て

投資に詳しいファイナンシャルプランナーの藤川太さんも、美歩さんの運用手法には舌を巻く。

(PIXTA=写真)

「手間と費用を惜しまず勉強したうえで、自分の価値観で判断しています。行動力も抜群で企業経営者のようですね」

夫婦が揃って同じ方向を目指していることも、パワーアップのポイントだという。

とはいえ、誰もが美歩さんのように投資で成功するとは限らない。「自分にはとても無理」と思う人が大半だろう。

「投資せずに着々と貯金を続け、1億円を達成しそうなご夫婦がいらっしゃいますよ」

ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんがそう教えてくれた。

赤沢文彦さん(仮名、51歳)・由美子さん(同、45歳)夫婦は、揃って地方公務員。年収は2人合わせて約1400万円。積み立てた貯金はすでに7000万円を超え、退職金を合わせれば1億円を楽々突破しそうな勢いだ。

2人の子どもは大学3年生と高校3年生。2人とも高校までずっと公立だ。

赤沢さん一家は、特に節約に励んでいるわけではない。子どもが小さいころからずっと年4回も家族旅行に行っている。ただし、行き先は海外ではなく国内、泊まるのは決まって住んでいる区の施設だ。

結婚したときに親が建ててくれた二世帯住宅に3世代で暮らしている。親を病院まで送り迎えするため、車は大衆車のワゴンを選択。あるとき車をぶつけて大きな傷がついたが、修理には出さずDIYで買った補修シートを貼って4~5年は乗り続けた。

「2人分の収入があっても1人分で暮らしている感覚です。そして、収入が増えても生活水準は変わらない。これらは資産を築くための大切な条件ですね」(畠中さん)