人の心のありようは「外側」から規定される

お洒落をして街に出かけるだけで、なんとなく心が浮き立つような気分になるのは、よく経験することではないでしょうか。

スーツを着てネクタイを締めると心が引き締まるという男性や、メイクをすると気分が前向きになるという女性はたくさんいます。

反対に、日曜日などに一日中パジャマのままゴロゴロして家ですごすと、リラックスを通り越してかえって体調を崩したりします。

このように、人の心のありようは、内面から湧き出るというよりも、外側から規定されるものだという考え方が、現代の行動療法や認知科学の世界では強まってきています。

行動によって人間の心のありようは変わり、体の状態も変わります。ということは心が浮き立つような行動をすれば、自然に脳や身体の調子もよくなるわけです。

「見た目」「外見」からも逃げずによくしようと取り組むのも、そういった行動のひとつです。

たとえば、少し若めの格好をしていると、気分まで若返ります。

逆に「見るからにおじさん」「いかにもおばさん」という格好をしていると、心まで「おじさん」「おばさん」になってしまいます。

不思議なことですが、そのように自己規定していると、姿勢や仕草、表情なども年齢以上になります。さらには体形までずんぐりむっくりしてきたり、肌がくすんできたりするのです。

つえを持って座っている高齢者の手元
写真=iStock.com/Hiraman
※写真はイメージです

見た目が若返れば、「心・脳・身体」も若返る

「形から入る」という言葉がありますが、老化予防はまさにそれです。ですから「見た目」「外見」からも逃げずに取り組むことをおすすめしているのです。

ホルモンや前頭葉の機能は、心のありようで大きく変わります。心が浮き浮きしていると、ホルモンの分泌や前頭葉の働きは活発になりますが、どんより沈んでいると、停滞します。若く見られたいという気持ちは、想像以上に大切です。

超高齢社会になって、くすんだ色合いのしょぼくれた老人ばかりが目立つようになってはまずいことになります。

趣味でも服装でも、美容や化粧でもなんでもいいので、形や見た目から若返れば、心・脳・身体も若返ります。これがアンチエイジングの第一歩です。

アクティブな生き方を大事にして、見た目も若く保つことを心がけてください。