健康で長生きするにはどうすればいいのか。医師の和田秀樹さんは「心が浮き立つような行動をすれば、自然に脳や身体の調子もよくなる。趣味、服装、美容や化粧、なんでもいいので、形や見た目から若返ることが大切だ」という――。

※本稿は、和田秀樹『逃げ上手は生き方上手』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

建物の高層階から景色を眺めるカップル
写真=iStock.com/SHansche
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「楽しいから」という理由だけでOK

ある程度の年齢になると、「今から始めても……」と思うことが増えてきます。

でも、そう思ういちばんの理由は、高いレベルをめざそうとするからでしょう。

「今さら初心者に混じって習うなんてみっともない」とか「若い頃に比べれば、覚えも悪くなっているし、体だって昔のようには動かない」などと考えて、新しいことを始めたり習ったりするのをどうしてもためらってしまいます。

でも、そう考えてしまうと、ふと「面白そうだな」とか「やってみたいな」と思うことがあっても、「やめておこう、恥をかくだけだ」などと自分からセーブすることになります。

こうした傾向は、私の見るところ、女性より男性のほうが強いようです。男性はどうしてもプライドや面子にこだわるからでしょう。

女性は、たとえば70歳を過ぎてユーチューブを始めたり、絵を習ったり俳句を習ったり、大学の公開講座に通って諦めていた勉強を始めたりといったことをわりと気楽に始めます。「楽しいから」という理由がいちばんで、とくに高いレベルにこだわっているわけでもありません。

年齢に関係なく人生を楽しむコツ

でも、「楽しいから」という動機は強いです。夢中になって続けているうちに、どんどんレベルアップしていく例は多くあります。

ふと興味を持った世界に気軽に一歩踏み込んでみるというのは、好奇心に揺り動かされる生き方になりますが、高齢になっても好奇心を失わない人は、年齢に関係なく人生を楽しむことができます。

どうしてそうできるかというと、性急に結果や成果を求めないからでしょう。「好きなことを続けられるだけでうれしい」「好きなことができるというだけで幸せ」という気長な人生観の賜物ですね。

「結果を出さなくては」とか「高いレベルに達しないと」といった性急な人生観は、逆に多くのものを諦めさせてしまうだけのような気がします。

そうならないためには、結果を気にしない、つまり結果から逃げるというのも、ひとつの方法だと思います。