スーパーのお惣菜は「超加工食品」
スーパーやコンビニでは多種多様なお惣菜が販売されています。野菜不足が気になるときは、おひたしやごま和えなどの野菜を使ったお惣菜をうまく利用するのも“あり”です。ただし、お惣菜に頼りきりになるのはおすすめしません。お惣菜は超加工食品に分類され、近年、健康リスクが指摘されているからです。
超加工食品(Ultra-processed foods:UPF)とはブラジルの研究者が提唱した概念で、食品を加工の程度によって4段階に分類します。卵や生鮮食品、生鮮食品を冷凍した食品は「無」加工食品、卵白や調理油や砂糖、無添加ヨーグルト、精製粉でつくられたパスタなどは「低」加工食品、甘味料や香料を添加した果物ジュース・野菜ジュース・ヨーグルト、そのまま食べられるシリアルなどは「中」加工食品です。
「超」加工食品は加工の度合いがもっとも高く、ソーセージ、菓子パン、ポテトチップスなどのスナック類、アイスクリーム、清涼飲料水などが該当します。スーパーやコンビニで売られているお惣菜などの調理済み食品のように、家庭外で調理された料理も超加工食品に分類されます。
一見、家庭で手作りした料理と変わらなくても、業務用にあらかじめ加工された材料を使っていたり、たれやドレッシングなどの複合調味料を使って味つけされているため、野菜のお惣菜でも「超」加工食品に分類されるのです。
肥満や生活習慣病のリスクが高まるおそれがある
東京大学の研究グループによると(*4)、1日の総エネルギー摂取量に対して超加工食品が占める割合は、超加工食品をより多く見積もった場合(すべて超加工食品と分類する場合)では42.4%、超加工食品をより少なく見積もった場合(料理に含まれる各食材を加工レベル別に分類する場合)は27.9%でした。アメリカやイギリス、カナダに比べると低い数字ですが、日本の食生活にも超加工食品がしっかり根づいているようです。
一方、女子栄養大学の研究によると(*5)、超加工食品が食事を占める割合が高い人は低い人に比べて総エネルギー摂取量が多く、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、マグネシウムなどの栄養素は不足するリスクが高いことも報告されています。さらに、摂取割合が最も高い人では、低い人に比べて肥満になるリスクが4.5倍高いことが示されています。
超加工食品には、調理をしなくても空腹を満たせる、生鮮食品に比べて安定的に供給される、栄養成分表示で栄養成分を確認できるなどのメリットがあります。一方で、脂質や食塩が多いのに対してたんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルが少ない傾向があり、心疾患、脳卒中、がん、肥満、糖尿病などとの関連が示唆されています。
超加工食品はそのメリットとデメリットを天びんにかけながら、上手に利用することをおすすめします。
(注)
(*4)Shinozaki N, Murakami K, Masayasu S, Sasaki S. (2023) Highly Processed Food Consumption and Its Association with Anthropometric, Sociodemographic, and Behavioral Characteristics in a Nationwide Sample of 2742 Japanese Adults: An Analysis Based on 8-Day Weighed Dietary Records. Nutrients, 15(5), 1295.
(*5)小岩井馨, 武見ゆかり, 林芙美, 緒方裕光, 坂口景子, 赤岩友紀, 嶋田雅子, 川畑輝子, 中村正和 (2021) 市町村国保の特定健診受診者におけるultra-processed foodsの利用と栄養素等摂取状況および肥満度との関連. 日本公衆衛生雑誌, 68(2), 105-117.