※本稿は、泉房穂『わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇』(集英社新書)の一部を再編集したものです。
政権交代をしたところで国民には変わりなし
現在の日本の社会構造は、「一番上に官僚がいて、その官僚の軍門に政治家が下っていて、その政治家が国民に負担を課す」という、上意下達の構造になっています。政治家は与野党ともに官僚の支配下にありますから、このまま政権交代をしたところで、国民にとっては変わりがありません。
それに加えて、マスコミが官僚の横にいて、政治家を叩くネタを官僚からもらい、検証も批判もなしに、国民に対して垂れ流しています。学者も同じです。テレビや新聞では毎日のように、官僚と結託している御用マスコミと御用学者たちが、「国民の負担やむなし」といった、官僚の側を向いた発言を重ねています。
前回の総選挙である、二〇二一年の衆議院議員総選挙の投票率は、五五・九三パーセントと低いものでした。それでも、曲がりなりにも、自分たちが選んだはずの政治家です。それなのに、選挙で選ばれていない官僚の言いなりになっている惨状です。
私たち国民は、「では、どうすればいいのか?」という話になります。
上意下達の構造を逆転させる必要性
国民負担率がほぼ五割で、その恩恵となる社会保障も充分でない日本国民にとっては、今まさに社会構造を転換させるときです。
国民の居場所と官僚の居場所を入れ替えて、主権者たる国民が選んだ政治家が、国民の支持に従って、官僚に指示する。マスコミも、主権者たる国民の隣に立って、国民目線で報道をする。
官僚主権国家から、国民主権国家へ。私が現在、いろいろなところで発信している「救民内閣」構想も、このビジョンを実現するための第一のステップです。
石井紘基さんの晩年の著書『日本が自滅する日 「官制経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』(PHP研究所、二〇〇二年)には、「構造改革のための二五のプログラム」という改革案があります。その一番目のプログラムが、「既得権益と闘う国民政権をつくる」でした。これはまさに私の救民内閣構想と同じ理念です。二二年前からすでに、石井さんは右左の対立ではなく、上意下達の構造を逆転させる立場で活動されていました。その他にも「徹底した地方分権を断行する」(プログラム一七)、「五年で予算規模を二分の一に縮小する」(プログラム一八)と、令和の大改革にも通じる国家のビジョンを、石井さんは見据えていました。
私は私の戦い方で、石井さんの遺志を継いでいきたいと思っています。