Xの声明はまるで「悪ガキの反省文」
サービス停止前後には、モラエス判事をスター・ウォーズやハリー・ポッターの悪役に見立てた批判・中傷の投稿をしていたマスク氏だったゆえ、Xのこの声明には、まるで悪ガキが反省文を書かされたかのような印象を覚える。
Grok “Generate an image as if Voldemort and a Sith Lord had a baby and he became a judge in Brazil”
— Elon Musk (@elonmusk) August 29, 2024
It’s uncanny! pic.twitter.com/aTdVRg9jrw
Xがブラジル最高裁と争い、サービス停止の足止めを食らっている間に、利用者数を激増したのが同業他社のサービス「ブルースカイ」だ。
ブルースカイは、Xサービス停止前後の3日間に約100万人のブラジル人新規ユーザーを数えたというから、いかにブラジル人が画像添付可能な“つぶやき”や“いいね”を欲しているかがうかがい知れる。
Xがブロックされた8月末の週末には、ブラジル人ユーザーの急増によりポルトガル語の投稿件数(73.7%)が英語のそれ(16.5%)を遥かに凌いでブルースカイ上でもっとも使用される言語となり、いまでは国別ユーザー数でブラジルがトップを飾っている。
ブルースカイは、ツイッターの共同創業者ジャック・ドーシー氏が2019年に創立したサービスだったというから、操作性の類似とそれによるユーザーの移行も頷ける。
実はブラジルはSNS大国
人口約2億1258万人(世界7位)を数えるブラジルは所得格差が著しいことでも知られるが、国内で使用されるスマートフォン台数は約2億5800万台と、総人口数を超えて普及している。若年層の占める割合も大きく、SNS利用者数は人口大国のインド、インドネシアに次ぐ世界3位で、アクティブなSNSユーザーは1億4400万人を数える。またオンライン利用時間も南アフリカに次ぐ世界2位の9時間13分という調査報告もある。
そんなSNS大国ブラジルでどんなサービスが人気かというと、今年1月現在でのトップ3はワッツアップ(93.4%)、インスタグラム(91.2%)、フェイスブック(83.3%)とメタ社のサービスが独占しており、4位ティックトック、5位フェイスブック・メッセンジャーと続いている。
そんななか、Xは同ランキングで9位(44.4%)とトップ集団から遅れてはいるが、国別Xユーザーランキングにおいて、ブラジルは2148万人と世界6位につけている。マスク氏が態度を変えてまで最高裁の要求をのんだのは、Xのビジネスにとってブラジルが取りこぼせない国だからだ。