同じ悩みを持つ親同士が交流できる場が大切

高校生の場合も、公立の定時制高校、通信制高校に入学することを勧められがちです。

一方、私立の広域通信制高校やそこと連携するサポート校に相談すると、その通信制高校に入学することを前提に話が進められます。

このように、中立的な立場で相談を受けてくれるところがなかなかないのが現実であり、問題です。できるだけ、どちらの事情にも詳しい相談機関を見つけて相談するのが望ましいです。

保護者会などがあって、同じ悩みを持つ親同士が交流できる場を持っているところはおすすめです。なお、高卒支援会では毎月保護者会を行っています。

悩みを話して共有することで、親も「自分だけじゃない」と思えて、前向きになることができます。立ち直った生徒が発表する様子を見たり、先輩お父さん、お母さんたちの話を聞いたりしていくうちに、自分の子どもが立ち直る道筋が見えてきます。

外出できない場合の「家庭訪問支援」

不登校・ひきこもりの相談で最初の難関は、子どもをその相談機関に連れていくことです。ひきこもっているから相談に来ているのに、「連れてきてください」と言う相談機関もあります。これでは話になりません。

家庭訪問支援は自宅を訪問をして、子どもと徐々に信頼関係を築いて、少しずつ外に出るのを促し、フリースクールやサポート校などの居場所に毎日通えるように導いていく支援です。

家庭訪問支援をしてくれる相談機関は少しずつ増えていますが、まだまだ少ない状態です。

家庭訪問支援は、基本は週1回、同じ曜日の同じ時間に訪問します。保護者の要望によって、週2~3回にする場合もあります。

家庭訪問支援でキーパーソンになるのが、斜め上の関係の若者です。

専門スタッフが数回訪問した後、子どもの警戒心がなくなってきたら、学生インターンを投入します。

年配の先生や相談員がいくら訪問したところで、子どもは心を閉ざしていますから、そう簡単に信頼関係は築けません。

子どもが心を開くのは、自分と同じか少し上くらいの年代の若者です。しかも、当会の学生インターンのように、ひきこもっていた経験があると、「ひきこもっていても、こんなふうに立ち直れるんだ」と大きな衝撃を受けます。

初めは子どもの好きなこと、ゲームやマンガ、アニメなど、興味を持っていることについて話したり、一緒にゲームをしたりして、交流します。

楽しそうにゲームをプレイする少年たち
写真=iStock.com/1shot Production
※写真はイメージです

私はゲームやアニメなどを知らないので、そのような話ができないのですが、高校生や大学生のインターンと一緒にゲームをしたり、アニメの話をしたりすると、数回の訪問で仲良くなることができます。