「遊び」の延長で暗唱テストをしてみる
それでは、東大生を輩出する家庭ではどのようにお小遣いを渡しているのか。実は東大生の家庭でのお小遣いの渡し方には、教育上効果的なあるコツが隠されている。
例えば、筆者の家庭では「元素周期表の元素を全て暗唱できたらお小遣い」「47都道府県名を全て暗唱できたらお小遣い」といった具合に、具体的な事項を暗唱できるようになったか否かでお小遣いを渡す仕組みが存在した。
当初は、筆者がポケモンのキャラクター名を覚えることにハマっていたのだが、暗記をするのが好きなら勉強に活かせないかと、両親が勉強に関連した内容を暗記してみることを勧めてきたのがきっかけだった。
そこから次第に「ポケモンのゲームが出来るように漢字を覚える」「ポケモンの属性にちなんで元素を覚える」というように勉強していく内容が拡大していった。
そして、勉強に関連した内容を暗記して、食事の時間や車での移動時間などに披露することができれば、お小遣いをもらうことができるという文化が生まれていった。最初は遊び感覚で暗記していたものが、気づいたときには「お小遣いがもらえる勉強」に変わっていた。
すると子ども側の心境としては、「お小遣いが欲しい!」「ゲームが欲しい!」となったら、必死に勉強をして、両親の前で暗唱してみようという発想になる。テストで満点を取るということよりもっとシンプルな仕組みだからこそ、子どもは迷いなく勉強ができる。
「何を覚えたらお小遣いがもらえるのか」を明確にする
異次元の話にも聞こえるが、そうした環境のおかげで、筆者は幼稚園児のときに元素周期表を全て暗記して説明できるようになっていた。別に化学に興味を持っていたわけではない。
しかし、それでも化学の知識が身についたのは、「インセンティブの設定方法」が上手だからである。ただ暗記ができる子どもを褒めるのではなく、具体的に「何を覚えて欲しいのか」そして、それができたら「何が貰えるのか」を伝える。
そして、これに子どもの興味関心のあることを組み合わせるだけで、お小遣いの渡し方は劇的に改善できる。
ただ「塾のテストで満点を取ってきなさい!」と伝えるよりも、「塾のテストで高得点が取れるように、この塾のテキストを、これくらいやりないさい!」と伝えた方が良いし、「内申点でA○を取ってきなさい!」と伝えるよりは、「内申点を上げるために、この学校の課題を、こういう風にやりなさい!」と伝えた方が良い。
ここにインセンティブとして、「お小遣いをあげる」「好きなゲームを買ってあげる」ということが付け加われば、子どもはより積極的に勉強に取り組めるようになるのだ。