子供向けの「やわらか~い」トイレットペーパーを紹介したい。作っているのは、先月号で贈答用トイレットペーパーを紹介した高知県の望月製紙である。商品名はズバリ「ニコニコうんちロール」(18ロール・1200円)。一度聞いたら忘れられないこの名前は、かつて雑誌の面白ネーミング大賞にも選ばれたことがある。受賞理由は「あっけらかんとしたおかしさ」だったとか。
しかし発売時は、個性的な名称に対し、望月製紙の取引先の中には戸惑う声もあった。特に男性は「なぜ、たくさんある日本語の中で、この言葉を選んだのか?」と首をひねる人もいたという。ところが、小さい子供をもつママや若い女性たちの反応は違った。「こういうのがほしかった」「かわいい」と評判を呼び、店頭に並ぶや否や爆発的な売れ行きを示し、現在までロングヒット商品となっているのである。
ただ、なんといっても望月製紙のトイレットペーパーの魅力はやわらかさにある。「肌がデリケートな子供にこそやわらかいものを」との思いで作られただけに、ふくと気持ちがいい肌触りに極上の気分を味わえる。加えて、キリン、ゾウ、ライオンの絵柄によって、トイレに行ったときに楽しい気分になれる演出が施されているわけだ。
購入したお年寄りからは、「孫が『おばあちゃんの家は違うから』と言って喜んでトイレに行く」といった便りも届くなど、子供自身がその違いをすぐに実感できるようだ。「子供がトイレに行くのを怖がらなくなり、トイレトレーニングが早く終わりました」といった反響も少なくない。
さらに「ニコニコうんちロール」のヒットにより、もう少し上の年齢の子供向けに開発されたのが「おとぎ話ロール」だ。「三匹の子豚」「かぐや姫」「桃太郎」という3つの物語が絵で展開する。「次はどんな絵が出てくるのかと子供が楽しむため、ついつい紙を使い過ぎてしまう」といった声も聞かれるが、人気は上々だ。
望月製紙のトイレットペーパーを使った人は「やわらかさと品質は魅力だけど、毎日使うには高いから」との理由で、一度、別の商品に切り替える人も少なくないという。ところがリピート率は7.8割。つまり、また戻ってくる顧客がほとんどなのだ。「ほかは節約しても、これだけはやめられない」という、お尻がファンになってしまうユーザーが多いようだ。