地方百貨店自体も減少
日本全国の地方都市に共通するが、県庁所在地の駅前や繁華街の一等地であっても、アマゾンや楽天などのECサイトや郊外のイオンモールなどショッピングセンターに商圏を奪われることで、個人向けの小売り商業地としての役割は急激に低下しているのだ。そもそも百貨店自体も苦戦し閉店するなど数自体も大きく減少している。
例えば、ルイ・ヴィトンの店舗がある鹿児島県鹿児島市の地元の老舗百貨店「山形屋」は、業績不振のため私的整理の一種「事業再生ADR」を活用し経営再建中だ。また、すでに、山形、岐阜、島根、徳島では百貨店はゼロである。
閉店理由には、②地域内の他の都市との競争に押され気味なエリアにあった、ことも大きな要因だといえよう。
首都圏における東京一極集中は無論、大阪、名古屋に加え、「札仙広福」と呼ばれる都市圏の求心力も高まっている。北海道では札幌市、東北では仙台市、中国では広島市、九州では福岡市といった具合に各地方でも、ナンバーワンの中核都市への人口流入が続き、中心地の再開発などで地価高騰も伴って、ますますヒトとカネが集まる好循環が形成されている。一方で、周辺の他の地方都市が相対的に競争力を失い衰退することで、地方都市の間でも格差が大きく広がってきているのだ。
中核都市への集中が進んでいる
2024年9月に国土交通省が発表した基準地価(2024年7月1日現在)によると商業地の変動率において、三大都市圏は前年比6.2%、「札仙広福」は同8.7%と全国平均の2.4%を超える高い上昇率となっている一方、「札仙広福」を除く地方全体では0.5%の上昇に留まっている。
こうした動きを先取りし呼応するように、冒頭で紹介したとおり、2015年以降、高知、熊本、旭川、大分、神戸、郡山、浜松、柏、水戸(予定)でルイ・ヴィトンの店舗が閉店していると言えるのではないだろうか。
その典型例の一つが神戸である。ルイ・ヴィトンは、1983年、銀座に続く2号店として神戸に出店するなど神戸には2店舗展開していたものの、2021年8月に「ルイ・ヴィトン 神戸阪急店」を閉店したことで、2022年3月に移転オープンした「ルイ・ヴィトン 神戸店」の1店舗に減っている。
背景には、関西圏での大阪一極集中が挙げられよう。梅田の大規模再開発などもあり、大阪一極集中が進むなか、産業構造の変化による地元大企業の流出や衰退、明石市など周辺自治体との競争などから、神戸市では、人口が150万人の大台を割って減少に転じているのだ。
※参考:高橋克英「『神戸より大阪のタワマンに住む方がステータス』日本屈指のブランド都市"神戸"が一人負け状態に陥った原因 同じ港町でも横浜市とは対照的な現状」(プレジデントオンライン)