300万円の女性は600万円の男性を選んでいる

男性は、300万円未満の年収の未婚率がどの年代でももっとも高く、年収があがればあがるほど未婚率も下がる、つまり、高年収ほど結婚しているというわかりやすい形になっています。特に、34歳までに年収600万円以上あれば74%、400万円以上なら63%が結婚していますが、400万円未満だと45%と半分を切り、300万円未満でたった25%しか結婚していないということになります。

対して、女性は自分の年収によって未婚率が大きく変化することはほぼありません。

ちなみに、男女とも20代未婚時代においては、年収中央値は300万円程度ですが、女性が自分と同等の300万円の男性を選ぶことはまれです。そもそも夫婦とも同程度の収入同士の年収同類婚は2022年時点でも2割に過ぎません。

先に述べた通り、児童のいる世帯数が減っていないのは900万円以上の世帯収入ですが、300万円の女性が結婚相手として選ぶのは、最低でも600万円の男性であったことを裏付けます。結婚という市場において、男性は「年収の高いほうから売れていく」のです。

この男性の低年収未婚構造をさらに深掘りしていくと、年収を決定づける要因でもある就業企業の規模による差異が浮き彫りになります。

中小企業の20代男性が結婚できなくなっている

企業の規模別に、100人まで、100~300人まで、300~1000人まで、1000人以上と官公庁の5つに分類してそれぞれの年齢別未婚率を計算すると、男性の場合は、企業規模が大きくなればなるほど未婚率は下がります。これは、企業規模が大きいほど年収も高まることと関連します。

2012年と2022年とで、その未婚率を年齢別に同規模比較したグラフが図表2です。

【図表2】企業規模別未婚率2012-2022年差分比較

男性の場合は、全体の未婚率があがっているため、どの企業規模であっても未婚率は上昇しているのですが、35~39歳の直近10年間の未婚率上昇ポイントで比較すると、企業規模が小さい順に7.4→7.3→3.5→2.9%ポイントの上昇となっており、特に、300人未満の中小企業において20代未婚率の上昇が顕著です。中小企業において20代の男性が結婚できなくなっているわけです。