日常備蓄の基本は「ローリングストック」

日常備蓄の基本は「ローリングストック」です。従来の食料備蓄においては、賞味期限の長い非常食を大量に備蓄しておき、期限が来たら入れ替えをしつつ、非常時に備えるという方法がとられていました。しかしこの方法では賞味期限を迎えるたびに全量を入れ替える必要があり、手間もお金もかかります。

髙荷智也『今日から始める本気の食料備蓄 家族と自分が生き延びるための防災備蓄メソッド』(徳間書店)
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そこで、非常食を普段から積極的に食べて消費と補充をすることで、入れ替えの負担を軽減する方法がとられるようになりました。これが「ローリングストック」です。当初、ローリングストックの対象は「非常食」でしたが、昨今では「普段から食べているもの」によるローリングストックも行われるようになりました。実際には、「日常備蓄」と「ローリングストック」は同じような意味で使われています。

利点の多いローリングストックですが、弱点もあります。それは「分量が増えると面倒くさくなる」ことです。

ローリングストックでは、平時から積極的に備蓄品を消費することで、定期的な期限チェックを不要にしています。「先入れ・先出し」の考え方の元、備蓄している在庫の中で、期限が近いものから順番に消費するため、常に新しい備蓄品を手元に残すことができるためです。

【図表1】ローリングストックの考え方

ローリングストックの弱点

備蓄品が少なければ、「消費のたびに期限チェックをして古いものを選ぶ」という作業は簡単ですが、備蓄品の数量全体が増えたり、ローリングストックする品目が増加したりすると、この都度チェックが大変になります。

例えば下記の【写真1】は、2008年頃のわが家の備蓄庫です。

ストックの棚
筆者提供
【写真1】上段の粉スープ・下段の乾麺などは賞味期限が見やすく入替しやすいが、中段のレトルト・缶詰は種類が多く、ここからピックアップするのは難しい。

ローリングストックで管理をしていましたが、備蓄の量と品数が増えるにしたがって、「ええと、粉スープで一番古いのは……」「レトルトカレーで最初に買ったのは……」と、期限チェックが煩雑になったり、思ったよりも消費速度が遅く、「ローリング」する前に賞味期限を迎えてしまったり、ということがよく生じるようになってしまったのです。