何かあれば食料品の奪い合いが起こる
イメージしてみてください。
お昼ご飯を買うためにコンビニへ、あるいは夕飯の材料を買おうとスーパーへお出かけ。しかし店舗へ近づくにつれて人が増え始め、お店の入り口を見ると大行列、何事かと思いつつも行列に並び、30分かけてようやく入店。
やっと店内に入るも、食料品の棚という棚はすでに空っぽで、かろうじて購入できたのは、普段なら買わないメーカーの乾物と調味料が数点、それにお菓子の袋が少々。
翌日も朝から最寄りのお店へ向かうものの、降りたままのシャッターには「本日入荷の見込みはありません」の張り紙が。その翌日も、そのまた翌日も状況は変わらず。そして自宅に残された食料は、マヨネーズのボトルを1本残すのみ……。
お店に行っても食べ物が買えなくなったとして、あなたは「何日間生き延びる」ことができますか。日頃から防災備蓄に励んでいる家庭でなければ、長くても数日から1週間程度で干上がってしまうのではないでしょうか。
現代日本においても、経済的な理由によりその日の食事に困る世帯が増加していることは事実であり、これはこれで解決が必要な社会問題です。
一方で「今日の食事に困る」世帯は全体としては少数であり、日常レベルで「餓死」する恐れは低いといえます。しかし、この当たり前の状況が永遠に続く保証はどこにもないのです。
しばしば話題にあがる日本の「食料自給率」ですが、実は平時に参照すべき「生産額ベース」の国産率は71%もあり、意外にも多くの食料を国内で生産しています。ところが海外からの輸入が途絶えた場合に参照すべき「カロリーベース」の自給率はわずか37%と、非常時には、日々の食事を半分にしても全く足りなくなります。
食料危機がいつ生じるかは分かりません、しかしその日が訪れた際には、確実に食料品の奪い合いが生じるということを、認識しておくべきなのです。
「日常備蓄」がおすすめ
長期備蓄を当たり前にするには、「日常備蓄」による対応がおすすめです。日常備蓄とは文字通り、「日常で使うものを多めに備蓄し、普段から消費しつつ、なくなる前に補充する」方法です。備蓄品の調達・管理・入れ替えが自然になる優れた備蓄手法であり、各種のメリットも存在します。
まずは「慣れ」です。非常時だからといって、見たこともない国の言葉で書かれたラベル付きの、謎の非常食を美味しく食べることは難しいと思われます。しかし、日常備蓄により普段から食べているものを非常時にも食べられれば、安心して生活をすることができます。これは「普通の防災」においても重要です。
次に「お得」です。日常備蓄は、いつか食べたり使ったりするものを先に買っておく方法をとりますので、防災用に特別なお金を使うことがありません。長期保存できる非常食は性能が良い分やや割高ですので、大量に準備したい食料品については、お財布に優しいものを選ぶことがポイントです。
そして「楽」です。非常時にしか使わない食べ物や道具を大量に準備すると、定期的な期限チェックと入れ替えの手間が発生します。量が増えればなおさら大変です。日常備蓄であれば、日頃からどんどん消費して補充していきますので、期限チェックを個別に行う必要がなくなるのです。