大学は首都圏に集中している
冒頭に記載した図表1を見ると、東京都と一都三県の全国に対する人口の比率よりも、20~35歳女性の比率が高くなっている。
例えば東京都の人口は全国の11.1%だが、20~35歳の未婚女性は全国の14.1%と高くなっている。
これは、全国から未婚女性が首都圏に集まってくるためだが、この背景には大学が首都圏に集中していることがある。首都圏には大学の17.8%、大学生の26.6%が集中しているため、進学に伴って若い男女が首都圏に集まってくる構造になっている。
さらに、ここに就職等による社会移動が加わっているわけだ。
東京で出会い、結婚するタイミングで埼玉・千葉・神奈川に流出
そして、ここからが興味深いところで、そうした未婚女性は東京都で出会い、結婚するタイミングで埼玉県、千葉県、神奈川県に流出して子どもをもうけるのだという。
これは、2015年7月に発表された日本経済研究センターの「老いる都市、『選べる老後』で備えを ―地方創生と少子化、議論分けよ」という研究に含まれているもので、日本大学教授の中川雅之氏の「第4章:東京は「日本の結婚」に貢献 ―人口分散は過剰介入」で以下のように解説されている。
・東京都の婚姻率が低いのは、未婚者の流入を受け入れる一方で、生活コストが高く結婚世帯は流出するためだ。
・東京都は地方部から未婚者を受け入れ、カップルとして周辺県に送り出していることはデータでも確認できる。東京は、いわば『日本の結婚』に貢献しており、社会全体の婚姻率引き下げをもたらすものではない。
・東京への集中に対して人口の分散を図るのは過剰な介入だ。
さらに、中川氏は「1980年から2005年までの人口をみると、起きていたのは東京一極集中や3大都市圏への集中ではない。名古屋に次ぐ京都以下の政令都市クラスの都市圏が急速に成長する、大都市化とも言える現象だ」とも指摘している。