熟読
一般的には通読レベル2のような読み方が「熟読」と言われるのかもしれませんが、私の定義は少し違う。私にとっての熟読はゆっくり読むのではなく、丁寧に読む。
丁寧というのは、いろいろなことを参照したり、体系づけたり、じっくり考えながら読むということです。参考文献に当たったり、ネットで関連情報を引き出しながら読むこともあります。
熟読の目的は論理を追ってきっちり読むこと。ただし通読レベル2のように最初から最後まで全部を読まなくてもいい。知りたいことだけを、論理立てて読んでゆく。
大切なのは書かれていることを正確に理解することです。表面的な「わかった」ではなく、自分自身のものになるまで理解する。その基準は書かれていることと現実に起きていることを関連付けて考えられるか否かです。本のベースになっている考え方や論理がわかると、まったく違う分野でも同じロジックが当てはまることに気づいたり、「あ、ここから派生したんだ」ということが見えてきます。
最初は著者の論理を丁寧に追いながら、そうした“ひらめき”を得るように、意識的にほかのことと関連付けながら読んでゆく。もっといえば関連付けがわかるまで読み込む。この関連付けの作業によって論理的思考力がぐんぐんと鍛えられるのです。
世の中で起きていることは、深く、広く、複雑に関連しています。論理的思考力レベルの高い人が書いた本を熟読しているうちに、最初は難しく感じても、わかるようになってきます。今、論理的思考力のレベルが1や2の人も、そのレベルが4や5の人が書いた本を丁寧に読むことによって、自分の思考力のレベルを3や4に上げていくことができます。つまり、「熟読」は頭をよくする最強の読書法です。