健康診断で「コレステロール値が高い」と指摘されたら、どうすればいいのか。医師の和田秀樹さんは「医師に処方されたとしても、高齢者と女性はコレステロールを下げる薬を飲む必要はない」という――。(第4回)

※本稿は、和田秀樹『コレステロールは下げるな』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

処方された薬とおくすり手帳
写真=iStock.com/takasuu
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コレステロールを下げる薬を飲む必要はない

本章では、コレステロールや脂肪をめぐる「薬と医療の問題点」について話したいと思います。

まずはコレステロールを下げる薬です。

検査の数値を見た医師から「コレステロール値が高いですね。薬を使って下げましょう」と言われる人がたくさんいます。でも、はっきり申し上げておきます。

薬を飲む必要はありません。

とくに高齢者の場合は、薬を使ってコレステロール値を下げるのは、百害あって一利なしです。

もちろん、若い世代や脂質異常症などの病気がある場合は、話は別です。しかし、ただ検査の数値だけを見て「値が高いから」というだけの理由で薬を使うのは、寿命を縮める行為とさえ言えます。

「コレステロール値が高いままだと動脈硬化になりますよ」と医師から言われたとしましょう。では数値を薬で下げたら動脈硬化にならないのか、実はそんなこともないのです。

なぜなら、動脈硬化のいちばんの原因は「加齢」だからです。

動脈硬化を防ぐことはできない

年を取れば、どんな人も動脈硬化が進行します。多くの人は50代、60代から少しずつ進み始め、70代では大半の人がかなり進行します。さらに80代になると、ほぼ全員の動脈硬化が“完成”してしまいます。

どんなに規則正しく、健康にいいと言われる生活をしていても、加齢による進行は防ぎようがありません。薬を飲んでも止められません。コレステロール値を下げることはできますが、動脈硬化は防げないのです。

それでも薬を飲むのか? ということを、高齢のみなさんは考えるべきです。

私はよく、患者さんに次のようなたとえをします。

「高齢になってから動脈硬化を心配して薬を飲むのは、年を取ってシワだらけの顔になってから『シワ予防の美容液』を塗るようなものですよ」と。微妙な効果はあるかもしれませんが、おそらくそれほど変わりません。