事故物件の価値は最大30%程度落ちる
事故物件は、価格・賃料にどの程度影響を与えるのでしょうか。
我々不動産鑑定士は、死亡時の状況、事件性、周知性、社会性等を考慮して下落率を査定するので一概に何パーセント下がるとは言えません。しかし、それだとつまらないので、不動産鑑定士の感覚として、一般的な価格・賃料の下落率をお見せしましょう。
賃貸の場合、賃料の下落率は人気エリアでは5~10%程度、不人気エリアでは20%程度。売買の場合は、人気エリアでは10~20%程度、不人気エリアでは30%程度、価格が下落するとみられます。
次に、①価格に大きく影響する場合、②標準的な場合、③価格への影響が僅少な場合に分けて説明します。
①事件性の高い他殺、火災事案
最も下落率が高い事案です。とくに「連続殺人事件」「放火殺人事件」などとしてニュースで取り上げられた場合、一般的な方法では売却できず、訳あり不動産の専門業者などに買取依頼をすることが多いです。価格も相場の半値程度を覚悟しておいた方がよいでしょう。
最近の事件だと「京都アニメーション放火殺人事件」「座間9人殺害事件」などが該当します。
高齢化のいま、孤独死は決して珍しくない
②死後一定期間放置され、特殊清掃が必要になる
自然死特殊清掃とは、孤独死や事故死、ゴミ屋敷などの特殊な事情がある部屋を掃除・原状回復する作業です。昨今では孤独死が一番多いでしょう。一人暮らしをしていたご年配の方が室内で亡くなってしまい、発見が遅くなってしまうケースです。
たいていはドアや窓周辺にハエが飛んだり、外からでも分かる腐敗臭により、近隣の方から管理会社や警察に連絡が入ります。この場合、体液や臭いが床や壁に染み込んでしまい、通常の清掃では除去できないため、専門業者に特殊清掃を依頼します。なお、特殊清掃の費用は30万円~70万円程度です。
また、アパート経営では建物の築年数が古くなったり家賃が安くなると、入居者の年齢が高齢化するため、特殊清掃が必要な自然死に遭遇する確率は必然と上がります。筆者のひとり、泰道の所有しているアパートでも2回ほど孤独死の経験があるので決して珍しいことではありません。
この時の賃料の下落率としては、不人気エリアで20%程度、人気エリアだと5~10%程度の下落です。また、泰道が所有しているアパートで孤独死があった部屋は家賃を6万円から5.5万円に下げて入居してもらいました。