わからないことを素直に認めるあなたをバカにするエンジニアはいません。逆に、正しい定義を与えてくれる存在として、信頼を寄せるようになるはずです。

エンジニアと文系管理職はなぜわかりあえないのか?

ただ、「私はわからないから、そちらでよろしく」という丸投げはよくありません。「理解したいので、きちんと説明してほしい」という姿勢が重要です。自分で勉強することも必要です。「何でも聞いてね」と伝えた新人が本当に四六時中何でも聞いてきたら、「ちょっとは自分で考えろ」と思いますよね。

知らない単語は事前に自分で調べ、理解できなかった話は次回のミーティングまでにキャッチアップし、それでもやはりわからないときは、素直に「教えてください」と言いましょう。

フィードバックは、「定量的なファクト」と「課題解決へのインパクト」を大切に

「定義」を大切にするエンジニアは、「ファクト」や「数字」も重視します。エンジニアにフィードバックするとき、「よくやった!」という抽象的な褒め方は得策ではありません。「誰が、どのプロジェクトで、どれぐらいの成果を上げたことに対して評価しているか」の定義付けが不十分だからです。

といっても、「1日でコードを3000行も書いてすごい」と褒められてモチベーションが上がるエンジニアはあまりいないと思います。エンジニアのもう一つの特性は、自分が学んだり身につけたりした技術を使って課題を解決したい人たちだということです。

エンジニアの人たちは、自分のスキルの優劣自体というよりも、自分のスキルがプロジェクトやチーム、会社が抱える課題に対してどのようなインパクトを与えることができたのかを気にしています。

よって、フィードバックをする際は、「プロジェクト達成まで1カ月のバッファ期間を設けていたが、あなたがタスクをスムーズに進めてくれたおかげで、当初の目標期日までにシステムを公開することができた」「皆さんのチームが開発した新サービスのおかげで、新規ユーザー登録数が対前月比120%増を達成し、会社全体に良いインパクトをもたらした」というように、定量的なファクトを根拠にしつつ、目標やミッションへの貢献具合を褒めると、エンジニアのモチベーションをグッと上げることができるでしょう。

(構成=奥地維也 図版作成=大橋昭一)
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