Facebookでニュースに一言いうのも脳を活性化する
しかし、スマホやパソコンでは、ユーザーが能動的に動かなければ情報が入ってきません。見たい情報をタップするとか、画面をスクロールするとか、ちょっとしたことですが、「自分で動いて得た情報」と「勝手に入ってきた情報」とでは、受ける刺激が違うのです。
さらに、デジタルを使えば自分から情報を発信することもできます。テレビ局を作るのは大富豪でなければ無理ですが、YouTubeにチャンネルを開設するのは、スマホ一台あれば誰でもできます。X(旧Twitter)やFacebookを使えば、誰でも自分の考えを世界中に伝えられます。
学生のころを思い出してみてください。受け身で参加した授業と、楽しみながら能動的に参加した授業とでは、後者のほうがはるかにためになったはずです。
情報との付き合い方も同じです。能動的になれるということは、脳を活性化させ、有益で新しい知識を身につけさせてくれるのです。
匿名アカウントと論争をするのも刺激になる
シニアの他人とのコミュニケーションという観点では、デジタル独自の匿名性も非常にプラスになります。
Xをはじめ多くのSNSは、自分の名前を隠して利用することができます(実名でも大丈夫です)。こういった匿名性はSNS独自のもので、犯罪や誹謗中傷の原因になるなど、ネガティブに語られることが多いのですが、私はシニアにとってはプラスも多いと考えています。
なぜなら、匿名性があることで、他人とつながることのハードルが低くなるからです。「自分は実名でもまったくかまわない」と思える方ならいいですが、見ず知らずの他人がたくさんいるSNS上で自分の名前を、つまり自分が誰であるかを明かすことに抵抗がある人が多いのではないでしょうか? 特に、自分を抑えるように教育されてきたシニアならなおさらです。
でも、匿名性が確保されていれば、気軽に他人とコミュニケーションをとることができます。万が一、相手が怒ったり、あるいは自分が不快な思いをさせられたりしても、匿名ですからあなたであることは相手には伝わりません。
シニアにとって重要なのは、相手が匿名であってもコミュニケーションには変わりないという点です。やりとりによって脳が刺激されるのは、匿名の相手でも実名の相手でも一緒です。
ならば、ハードルの低い匿名でコミュニケーションがとれるSNSは、シニアの脳を活性化し、脳の大敵である孤独を防ぐために非常に役立つはずです。
社会との関係が弱くなってしまったシニアは、まずはSNSで、匿名で他の人とつながってみてください。そこにはいろいろな人がいます。
もちろん、心地いい人だけではないでしょう。むしろあなたにとっては不快なことや、受け入れられない意見を言っている人も多いはずです。
しかし、それも大切な新奇体験であり、脳への刺激です。ぼんやりとテレビを眺める平穏な毎日では得られない、エキサイティングな体験をしてみてください。